家庭の中で起きる「親への虐待」や「きょうだい間の支配関係」は、外部から見えにくい深刻な問題です。特に高齢の母親と同居する兄が、携帯電話の操作制限や外部との接触遮断などを行い、心理的支配下に置くケースは、全国で増加傾向にあります。
行政や包括支援センターに相談しても、同居家族の強い支配がある場合、すぐに解決には至りません。そのような中、「内容証明郵便による通知書」を行政書士が作成・送付することで、行為の抑止・警告・話し合いのきっかけを作ることができます。
本稿では、実際に「兄による母への虐待的支配行為」に関して行政書士が介入し、内容証明郵便による通知→合意書締結→再発防止へとつながった対応事例を紹介します。
兄による母への虐待・支配行為の実態と法的問題点
このトピックでは、家庭内で起きる心理的虐待や通信遮断の法的評価と、行政書士が関与できる範囲を解説します。
スマートフォン操作の制限は「虐待」に該当しうる

高齢の母が、自分の意思に反して電話やLINEを制限される行為は、「心理的虐待」または「生活上の自由の侵害」に該当する可能性があります。「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」でも、「高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」は禁止されています。
特に、兄が「登録外番号には出るな」「通話履歴を確認する」といった監視的支配を行っている場合、明確に法的な問題が生じます。
| 高齢者の養護者に対する支援等に関する法律 第2条第4項(定義等) この法律において「養護者による高齢者虐待」とは、次のいずれかに該当する行為をいう。 
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家族間の支配・共依存が行政対応を難しくする
このケースでは、兄が生活保護を受給しており、母と共依存的な関係にありました。母自身も「怖くて逆らえない」と訴えていたため、警察・行政・ケアマネも介入しにくい構造がありました。
共依存関係では、被害者本人が加害者の支配を「仕方がない」と受け入れてしまうため、外部の支援が届かないまま長期化する傾向があります。ここに、行政書士による法的アプローチが重要になります。
行政書士による通知書の意義
行政書士が作成する「内容証明郵便による通知書」は、民事的な合意・話し合いの前段階として穏やかに機能する手段です。「一度専門家が関与した」という事実が、当事者の行動を変える契機になります。また、将来の民事・刑事対応の証拠としても価値があります。
兄による母への虐待:内容証明郵便による通知書の作成と送付の流れ
このトピックでは、実際の通知書作成の流れと法的効果を解説します。
事実関係の整理と意図の明確化

相談者(娘)は、兄による行為を「母の人権侵害」と捉え、母を守る目的で通知を希望しました。行政書士はまず、兄と母の関係性、過去のやり取り、支援機関の介入経緯などを丁寧にヒアリングしました。感情的主張を避け、「具体的な行為」と「改善を求める意思」を明確に文面に落とし込みました。
通知書の構成と主な内容
通知書は内容証明郵便形式で作成し、以下のような構成としました。
- 経緯の説明(母への通話制限、来訪妨害など)
- 行為の違法性・不当性の指摘(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律・民法上の不法行為)
- 要求事項(スマホ制限の解除、通話妨害の中止)
- 今後の協議提案(話し合いの場を第三者立会いで設ける)
文面は攻撃的ではなく、「改善を求める誠実な呼びかけ」としてまとめました。
送付後の効果
通知書を内容証明郵便で送付した直後から、兄の態度に明確な変化が見られました。行政書士名での正式な書面が届いたことで、母への通話制限が一部解除され、地域包括支援センターとの再面談にも応じるようになりました。
心理的支配の緩和には時間がかかりますが、法的文書の存在が大きな抑止力になります。
兄による母への虐待:合意書の作成と和解の成立
このトピックでは、通知後の話し合いを経て作成された合意書の内容と法的効果を解説します。
第三者立会いのもとでの話し合い
通知送付後、地域包括支援センターの担当者が立ち会う形で話し合いが行われました。兄は当初、「俺は悪くない」と感情的でしたが、当方行政書士が同席し、冷静に法的リスクと今後の支援方針を説明しました。
結果、兄自身も「誤解を避けたい」という姿勢を見せ、合意形成へ進みました。
合意書の内容(抜粋)
合意書には、以下の主要条項を明記しました。
- 母の携帯電話を本人の自由意思で使用できるようにする。
- 兄は通話履歴・連絡先を閲覧しない。
- 母が親戚・友人と連絡を取ることを妨げない。
- 暴言・威圧的言動を行わない。
合意書は双方が署名・押印し、各1通を保管しました。
合意後の変化と再発防止
合意締結後、母の生活には明らかな改善が見られました。通話・LINEが自由に使えるようになり、娘とも定期的に会話できるようになりました。
兄も行政や包括支援の支援計画に協力し、生活支援員の訪問にも応じるようになりました。再発防止には、「合意書が存在する」という安心感と「専門家が関与している」という事実が大きく寄与しました。
兄による母への虐待:行政書士が支援できる範囲と注意点
このトピックでは、家族間トラブルにおける行政書士の実務的役割と限界を整理します。
行政書士ができること
行政書士は、以下のような「書面を通じて法的関係を整理する支援」を行うことができます。
- 内容証明郵便による通知書の作成
- 合意書・和解書・示談書の作成
- 警告書や要望書の文案支援
これにより、当事者同士の直接対立を避け、法的リスクを最小限に抑えた話し合いが可能になります。
行政書士ができないこと
一方で、行政書士は代理交渉や訴訟代理はできません。(弁護士法第72条)しかし、通知書や合意書の作成によって、弁護士を介入させずとも一定の解決が得られるケースも多いのが実情です。
また、行政書士が作成した書面は、警察・行政機関・包括支援センターに提出する際の「資料」としても機能します。
父・母・兄弟等による虐待にお悩みの方は

家庭内のトラブルは、第三者に相談しづらく、感情のもつれも多いものです。しかし、問題を放置すれば、被害者本人の孤立が進み、心身の健康に深刻な影響を及ぼします。内容証明郵便による通知書は、法的手段に踏み込みすぎず、現実的に行動を変えるきっかけを作ることができる有効な方法です。
全国どこからでも当行政書士事務所は支援可能です。まずは事実関係を整理し、冷静な書面対応から始めてください。
手続の流れ
1.電話又はお問い合わせ
まずは、電話やお問い合わせにより内容証明郵便を希望されることをお伝えください。お問い合わせフォームをご利用いただく場合には該当する相談内容をご選択いただき任意の記入欄にその旨をご記入ください。電話をご利用いただく場合は、「9時から18時」まで承ります。
| ⑴ お電話によるご相談は→0743-83-2162(平日土日祝 9:00-18:00) ⑵ お問い合わせフォーム→こちらです。 | 
2.契約書面の作成と送付
原則として、電話による打ち合わせ後、当日中もしくは翌日にご提出させていただきます。お見積については電話による打ち合わせ時にお伝えさせていただくことが多いですが、見積が必要な場合には、契約書面の送付と同時にお送りします。
3.お支払い
お支払いは、契約後5日以内に当事務所が指定する金融機関口座にお振込みよる方法でお支払いただきます。
4.内容証明郵便の作成や変更・修正
お振込みいただいた後、約7日で内容証明案を作成しご確認いただきます。内容証明郵便の案文について変更や修正がございましたらその都度お伝えいただけますと、無料で手直しさせていただきます。(差出後の変更はお受けできませんのでご了承ください。)
5.内容証明郵便の差出
内容証明郵便の案文内容をご承諾いただけましたら、内容証明郵便を配達証明付で差出させていただきます。弊所では電子内容証明郵便により差出を行っておりますのでご確認いただいた後、即座に発送させていただいております。
6.書類の郵送
内容証明郵便が無事に相手に届くと、後日弊所に配達証明書や内容証明郵便の謄本が届きますので、それらの書類(以下、ご参照ください。)を全てご依頼者様にご返送させていただきます。
【郵送書類】
- 内容証明郵便の謄本 計1通
- 配達証明書 計1通
- 領収書 計1通
- その他書類(名刺、アンケート等)
以上が大まかな手続の流れでございます。
ご依頼いただくメリット
下記には、当事務所に内容証明郵便をご依頼いただいた場合のメリットについて記載しております。
メリット1 迅速かつ効率的な手続
行政書士に内容証明の作成から差出までを依頼することで、手間や時間を大幅に節約できる利点があります。当事務所では内容証明郵便のご依頼を専門に扱っておりますので、通知書の作成や送付を迅速に行い、手続き全体をスムーズに進めることができます。
メリット2 相手に対するプレッシャーを与えられる
当事務所が作成させていただく通知書には、行政書士法施行規則に基づく行政書士の記名を作成代理人としてさせていただきます。
行政書士の記名があることで、相手に対して第三者の関与を意識させることができ、且つこちらの本気度を示すことができます。
メリット3 土日の対応も可能
内容証明郵便を利用する多くのケースでは、郵便局の窓口から差し出すケースが多いです。この場合には、土日など郵便局が営業していない場合に対応することができません。(一部の郵便局では、土日はゆうゆう窓口で対応しているようです。)
しかし、当事務所によって作成する内容証明郵便は電子形式による発送なので、土日に関わらずいつでも差し出すことができます。
ご依頼料金
下記の料金には、当事務所の記名費用を含んでおります。 (一部のサービスでは記名できない場合がございます。) 内容証明の郵送費等は別途かかります。
| 業務内容 | 案件(受取方) | 料金(税込) | 備考 | 
|---|---|---|---|
| 内容証明の作成と差出 | 定型外文面(個人・法人) | 33,000円~ | 1,000文字から4,000文字(最大)程度の内容文書を作成します。 | 
| 内容証明トータルサポート | サービスによってご利用いただけます。 | 44,000円~ | 〃 | 
お問い合わせ
お客様の声
下記はお客様からいただいたお声の一部です。当事務所では、現在約150件の口コミをいただき、総合評価は「4.9/5」と高い評価をいただいております。
そのため、実施するサービスには自信をもっております。

内容証明郵便のイメージ
当事務所では、内容証明郵便を電子形式(電子内容証明郵便)で発送させていただいております。電子内容証明郵便の見本は以下のとおりです。なお、金額によってページ数は異なります。

【参考記事】
 日本郵便株式会社 内容証明
まとめ:家族間の「静かな暴力」には、静かな書面で立ち向かう
兄による母への心理的虐待や支配は、身体的暴力のように見えない「静かな暴力」です。このようなケースでは、怒りや感情で対抗するよりも、専門家の中立的な立場から、正確な事実をもとに書面で伝えることが重要です。
行政書士が関与することで、家族間のトラブルを法的・倫理的に整理し、冷静な合意へ導くことができます。本件のように、内容証明郵便による通知→合意書締結という流れで、母親が再び自分の意思で連絡を取れる生活を取り戻した事例は、同様の問題を抱える多くの家庭にとって希望となるはずです。


