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いじめの重大事態を申し立てたいときは?保護者が整理する資料と確認手順

いじめの重大事態を申し立てたいときはについて資料を整理するイメージ

いじめによって心身や財産に大きな被害が出た、欠席が続いているなど、重大な被害の疑いがあるときは、保護者から学校や学校の設置者に状況を伝え、重大事態としての対応を求めることができます。診断や調査の結論がすべて出るまで待つ必要はありません。まず子どもの安全を確保し、起きた出来事、被害、これまでの相談を分けて整理しましょう。

この記事は、普段のいじめ相談から一歩進んで、重大事態の申立てを考えている保護者向けです。文部科学省の令和6年8月改訂ガイドラインを踏まえ、提出前の準備と、提出後に確認したいことを説明します。申立てをすれば希望する調査結果が必ず出る、という制度ではありません。

重大事態の申立ては、何を伝える手続き?

重大事態の申立てで整理することを整理した図
本文の表で説明する確認事項を図にまとめています。詳しい条件や手順は本文をご確認ください。

重大事態の調査は、発生した事態に対処し、同じような事態の再発を防ぐため、事実関係を明らかにするものです。保護者が相手の責任や損害額をすべて立証してから申し立てる制度ではありません。「いじめが疑われる出来事」と「重大な被害が生じた疑い」を、分かる範囲で具体的に伝えることが出発点です。

整理する区分書いておきたいこと
出来事日時・場所・言動。子どもから聞いた話と、保護者が直接見たことを区別する
被害の状況受診、けが、睡眠や生活の変化、物の損傷、欠席の時期など
これまでの対応学校へ相談した日、伝えた内容、回答、現在も残っている危険
確認を求める事項重大事態としての取扱い、当面の安全確保、調査の説明と連絡窓口

例えば「本人が教室に入れなくなった」という状態に加え、いつから、どんな場面で、どのような出来事を理由として話しているかを記します。医学的な因果関係を保護者が断定する必要はありません。医師から説明を受けた部分は、その説明と保護者の理解を分けて書くと、後の確認がしやすくなります。

法律上の重大事態には、どのような場合がある?

いじめ防止対策推進法28条1項は、大きく二つの類型を定めています。ここで重要なのは、いずれも「疑い」がある段階を対象としていることです。学校がいじめの存在や因果関係を確定していないことだけで、調査を待ち続ける理由になるわけではありません。

いじめ防止対策推進法28条1項各号(原文)

一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。

二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

出典:e-Gov法令検索「いじめ防止対策推進法」

ガイドラインでは、欠席について年間30日を目安としつつ、連続して欠席している場合などは、その日数に達する前から迅速に取り組む必要があるとしています。「30日になるまでは申立てができない」と数えるものではありません。短期間でも重大な心身の被害が疑われる場合は、第一の類型も含めて状況を伝えます。

ガイドラインは、本人や保護者からいじめによる重大な被害の申立てがあれば、学校がいじめの結果でない、重大事態でないと考えていても、重大事態として報告・調査等を進める扱いを示しています。いじめの事実を確認できなかっただけで、重大事態ではないと結論付けることはできません。法の要件に当たらないことが明らかな場合を除き、重大事態調査が必要です。これは申立ての内容をすべて事実認定するという意味ではなく、疑いの段階で調査し、確認するための扱いです。自宅での様子も提供し、学校がどの段階の対応を行うか説明を求めましょう。

提出前に、子どもの安全と資料をどう準備する?

登校や聞き取りを無理に急がせない

申立書の完成より、今日の安全を優先します。学校で接触を避けたい相手や場所、休み時間の居場所、相談できる教職員、欠席中の学習連絡など、当面必要な支援を先に相談してください。差し迫った暴力などの危険には緊急の対応が必要です。書面の到達を待って対応を遅らせることは避けます。

子どもに何度も同じ説明をさせたり、正確な日付を思い出すまで問い詰めたりする必要はありません。「本人が話せた範囲」「今は話すことが難しい部分」をそのまま記録できます。本人が望む説明の方法や同席者も確認し、聞き取りによる負担を学校へ伝えておきましょう。

資料は原本を残し、一覧を添える

相談メール、連絡帳、SNSの画面、受診の記録、出欠の状況、物が壊れた写真などを、日付順の一覧にします。画面の一部だけを切り取ると前後関係が分からなくなるため、元のデータも保管します。他の子どもの情報を含む資料を、保護者のグループなどへ広く送ることは控えてください。

提出する資料には「資料1・相談メール・送信日」のように番号を付けます。学校への提出用は原則として控えを用意し、手元に原本を残すと、追加説明や別の相談先への共有に使えます。資料がない出来事も、記憶している内容と記録した日を区別して書けます。証拠が揃わないことと、相談できないことは別です。

学校と設置者のどちらへ提出すればいい?

学校の校長やいじめ対応の窓口へ、重大事態としての対応を求める申立てであることを伝えます。そのうえで学校の設置者も確認します。市町村立なら通常はその市町村の教育委員会、都道府県立なら都道府県の教育委員会が確認先になります。私立学校は学校法人などの設置者、国立大学附属学校は関係する国立大学法人等があり、すべてを市の教育委員会へ出せばよいわけではありません。

窓口が分からない場合は、学校名を伝えて「重大事態の申立てを担当する部署と提出方法を確認したい」と問い合わせます。電話では担当部署、担当者、案内された提出先を控え、同じ資料を複数箇所へ出した場合は、その送付先も記しておくと連携を求めやすくなります。

既に転校・卒業している場合でも、当時の事態について相談することは可能です。ガイドラインも転学・卒業後の申立てを想定しています。前の学校での調査と現在の学校での支援を混同せず、在籍期間、現在の連絡先、資料の保存状況を伝えます。時間が経つほど資料や記憶の確認が難しくなるため、残っているものの保全も早めに相談しましょう。

申立書には何を書く?公式様式を使うときの注意

文部科学省のガイドラインには、別添資料2として「いじめ重大事態に係る申立様式」があります。申立日、児童生徒・保護者、重大事態の種類、概要や経緯などを整理する参考になります。学校や設置者が別の様式を案内している場合は、その取扱いも確認してください。

この様式は、意思疎通を円滑にするためのものです。所定の書面を書けないことを理由に、電話や口頭での相談まで遅れる扱いは適切ではないとガイドラインで示されています。長い文章が負担なら、まず箇条書きや手元の相談メモで伝え、足りない項目を確認しながら補う方法を相談できます。

申立書に添える確認文の例(公式様式ではありません)

○○学校 校長先生
○○教育委員会 担当部署御中

子ども○○について、別紙の出来事と心身の状態・欠席状況から、いじめにより重大な被害が生じている疑いがあると考え、申立てをします。

重大事態としての取扱い、現在の安全確保、調査を進める主体と今後の説明予定について確認をお願いします。未確認の出来事は、その旨を別紙に記載しています。本人への聞き取りは、負担と希望する方法を確認したうえで進めていただきたいです。

受領した部署・担当者と、次の連絡の目安を○○宛てにお知らせください。

この例を使う場合も、実際に提出していない別紙を「別紙」と書いたままにしないでください。診断書がないのに診断があるように書く、相手の意図を断定するなどの記載も避けます。確認できた事実、本人の話、保護者の見立てを分けるほど、調査で確かめてほしい点が伝わりやすくなります。

受理後は、調査について何を説明してもらう?

受領したという連絡と、重大事態として調査を始めたという説明は区別します。提出後は、学校・設置者がどの段階で検討しているか、誰が連絡窓口か、いつ次の説明があるかを確認してください。法律上の一律の調査完了日が決まっていると考えず、調査の範囲や状況に応じた見通しを尋ねます。

  • 調査を行う主体、調査組織の構成と公平性・中立性の確保
  • 調査の目的、対象となる出来事、期間、用いる資料や聞き取りの方法
  • 本人や保護者への説明方法、途中経過の伝え方
  • 関係資料の保存、調査結果の提供や公表の扱い

重大事態だから必ず同じ形の「第三者委員会」になるとは限りません。学校・設置者のどちらが主体となるか、どのような人が関わるかを確認する必要があります。疑問があれば「公平性に不安がある理由」を具体的に伝え、組織の説明を求めます。希望する結論に合う人を選んでもらうための制度と捉えないことも大切です。

説明を受けたら、質問に答えがあった項目、保留になった項目、次の連絡時期を短いメモにまとめます。解釈が分かれた箇所は「当方はこう理解しました」と確認すると、後からの行き違いを減らせます。学校の発言を、未回答のまま合意事項として書き換えないようにしましょう。

重大事態ではないと言われた・返事がない場合は?

学校から否定的な説明を受けた場合は、「どの資料を踏まえ、どの要件に該当しないと判断したか」「設置者と情報を共有しているか」を尋ねます。保護者の訴えと学校が把握した事実に食い違いがあるなら、違う箇所を一覧にして、追加資料や訂正してほしい記載を具体的に示します。

返答がない場合も、同じ長文を繰り返し送る前に、受領の有無、担当部署、次の連絡予定を確認します。安全対策が必要な状態が続いていることは、調査手続きの質問とは分けて再度伝えてください。「調査が終わるまで支援も待つ」という進め方にならないよう、当面の対応を別に確認します。

法律上の責任追及、損害賠償、調査対応に対する法的な争いがある場合は弁護士への相談を検討します。行政書士による文書作成と、当事者間の交渉や訴訟代理は役割が異なります。相談先を変えるときには、提出資料の一式と回答履歴をそのまま引き継げるよう整理しておくと、説明の負担を減らせます。

調査結果の説明を受けるときに確認したいこと

調査が終わったという連絡を受けたら、認められた出来事だけでなく、調査した範囲、確認できなかった事項、その理由、再発防止のための対応を分けて確認します。報告書の表現が本人の説明と違う場合は、該当するページと資料番号を示し、どの部分の確認を求めるのかを具体化すると伝えやすくなります。

いじめ防止対策推進法28条2項は、学校・設置者が、いじめを受けた児童等や保護者に必要な情報を適切に提供することを定めています。一方で、調査に協力した他の児童生徒の情報などにも配慮が必要です。すべての資料が無条件でそのまま渡されると考えず、説明や資料の提供がどのような方法で行われるかを尋ねてください。

受け取った報告書をSNSへ掲載する前には、子ども本人の希望、第三者の情報、今後の生活への影響をよく考えましょう。説明に納得できないことと、不特定多数に公開することは別の判断です。法的な手段を考えるなら、公開する前の資料を弁護士へ持参して相談する方法があります。

また、再発防止策は書面を受け取るだけで終わりにせず、本人の学校生活にどのように反映されるかを確認します。例えば、相談担当が変わる際の引継ぎ、進級後の居場所、学校から家庭へ連絡する方法です。本人が今困っていることと、過去の出来事の検証を並行して扱えるように、次回の確認日を学校と相談しておくとよいでしょう。

調査結果を読める状態でないときは、説明の時期や方法について希望を伝えます。一度に長時間の説明を受けるより、資料を先に受け取る、質問をまとめてから面談するなど、本人と家族の負担に合う進め方を相談できます。内容を理解できなかった点を、その場で同意したことにしないよう、未確認事項として残してください。

申立ての内容を文書に整理して相談したいとき

自分で整理できる部分は、まず時系列と現在の困りごとを書き出してみましょう。事務所への相談では、学校名や相手方を最初から広く開示する前に、現在の段階、提出先、求めたい対応を説明できます。初回はメール・LINEのみでも対応可能です。文書作成の対象と費用は、資料と希望する作業を確認したうえで案内します。

内容証明は、通知した文面を記録する方法の一つですが、申立ての必須条件ではありません。大量の資料を添付したい場合や指定の申請方法がある場合は、それに合った提出方法を選びます。内容証明を使う場合も、調査結果の保証や相手への処分を行う制度ではないことを踏まえて利用してください。

メールで文書作成について相談する

転校や進学を控えている場合の引継ぎを確認する

転校や進学の予定がある場合も、これまでの出来事の調査と、新しい環境での安全確保を分けて確認します。誰が調査について説明を続けるのか、現在の学校にある資料をどう保存するのか、転校先へどの情報を共有するのかを、学校や設置者に尋ねましょう。

転校先へ本人の事情が過剰に広がることを心配する場合は、共有する目的と相手、内容を事前に説明してほしいと伝えます。逆に、必要な配慮が引き継がれず、本人が最初から説明し直す負担も考えられます。本人の希望を聞き、安全のために必要な事項と、まだ共有を望まない事項を分けて相談してください。

重大事態の申立てについてよくある質問

診断書がないと申し立てられませんか?

診断書の有無だけで相談を止める必要はありません。本人の様子、受診の有無、欠席など分かる状況を伝えます。診断書が必要か、どの範囲を提出するかは、本人の負担や情報の取扱いも含めて確認してください。

保護者が調査方法をすべて指定できますか?

希望や懸念を伝えることはできますが、すべてがそのまま採用されるとは限りません。学校・設置者の調査方針を聞き、本人に不利益や負担が生じそうな点は理由を添えて相談しましょう。

相手の保護者へ先に申立書を送る必要がありますか?

学校・設置者への重大事態の申立てと、相手方への通知は別です。相手へ先に送ることを前提にせず、安全確保と学校の調査への情報提供を優先します。直接の連絡に不安がある場合は、学校を通す方法を確認してください。

参考資料

確認日:2026年11月06日。文例は当サイトが整理した例です。

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