金銭の貸し借りは、返済が少しずつ続いている場合ほど、かえって全体の整理が後回しになりやすいことがあります。
本記事では、貸金の返還請求について、内容証明郵便と債務弁済承認契約書を活用し、返済条件の整理につながった事例をご紹介します。
事例の概要
今回は、貸したお金の返還について内容証明郵便で対応した事例です。
ご相談者様は、相手方に対して100万円を2回にわたって貸しており、合計200万円の貸付がある状態でした。
- 100万円を2回にわたり貸していた
- 返済期限はすでに経過していた
- もっとも、相手方からは定期的に数万円ずつ返還があった
このように、まったく支払いがないわけではなかったため、ご相談者様としても強く全額返還を催促しないまま時間が経過していました。
ご依頼時の状況
一部返済が続いている場合、貸主としては「返してくれている以上、今すぐ強く請求するのもためらわれる」と感じることがあります。
しかし、そのままにしてしまうと、返済条件が曖昧なまま長引き、かえって後の整理が難しくなることがあります。
定期的に数万円ずつの返還は続いていた
本来の返済期限はすでに過ぎていた
今後の支払方法や金額が明確ではなかった
今回は、ご相談者様がこのたび一括返還を希望されたことから、まずは正式な請求を行い、相手方の対応次第で今後の返済条件を明確にしていく方針となりました。
内容証明郵便で行った対応
本件では、まず内容証明郵便により貸金の返還を求めました。
ただし、単に「支払ってください」と請求するだけではなく、その後の解決も見据えた文面構成としました。
- 貸金全額の返還を正式に請求
- 貸付の経緯と返済期限経過の事実を整理
- 今後の対応方法として債務弁済承認契約も記載
- 分割払いを希望する場合は署名・返送するよう案内
このように、内容証明郵便では一括返還を求めつつも、相手方が一括払い困難な場合に備え、現実的な解決手段をあわせて示しました。

電子内容証明郵便による送付について
本件では、電子内容証明郵便による送付も活用しました。
電子内容証明郵便は、インターネットを通じて内容証明郵便を差し出す方法であり、適切な形式で文書を作成することで、通常の内容証明郵便と同様に送付記録を残すことができます。
内容証明郵便というと、紙の書面を作成して郵便局の窓口で手続をするイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、電子内容証明郵便であれば、文面の作成から送付までを進めやすく、実務上も使いやすい方法です。
いつ、どのような内容で通知したかを整理しやすくなります。
修正や最終確認を行いやすく、内容を整えて送付できます。
状況に応じて、速やかに送付準備を進めやすいのが特徴です。
窓口の営業時間に左右されにくく、都合に合わせて手続を進めやすくなります。
窓口差出しの内容証明郵便よりも、1枚あたりに多くの文字を記載しやすい点がメリットです。
貸付の経緯や返済条件、同封資料の説明なども比較的まとめて記載しやすくなります。
金銭返還請求では、「請求したつもり」ではなく、実際にどのような内容で通知を行ったのかを明確にしておくことが大切です。
電子内容証明郵便は、その点でも相性のよい手段といえます。
債務弁済承認契約書を同封した理由
今回のポイントは、内容証明郵便の中で貸金の返還を求めるだけでなく、新たに債務弁済承認契約書を一部として送付した点にあります。
この債務弁済承認契約書は、これまでの2回の貸付を一本化し、現在どのような債務が残っているのかを明確にするためのものです。
また、相手方が一括返済は難しいものの分割であれば支払いたいという場合に、返済条件を改めて定める役割もあります。
- 複数回の貸付を一本化する
- 残債務の内容を明確にする
- 相手方が債務を承認する形にする
- 分割返済の条件を定め直す
本件では、相手方に対して、分割での支払いを希望する場合にはこの債務弁済承認契約書に署名し、貸主へ郵送するよう案内しました。
その結果、実際に相手方のもとから契約書が返送されることとなりました。
結果と解決のポイント
本件では、内容証明郵便と債務弁済承認契約書を組み合わせて対応したことにより、相手方から契約書の返送がありました。
- 一括での返還は難しいという事情が明らかになった
- 他方で、月々の返済について契約として整理することができた
- 貸主としても、今後の支払条件を明確に把握できる状態となった
つまり、本件は「直ちに一括で全額回収できた」という解決ではありませんが、曖昧だった金銭関係を、書面による返済契約として整理し直せた点に大きな意味があります。
金銭トラブルでは、相手方の資力や現実の支払可能性を無視して形式的に請求するだけでは、解決に結びつかないこともあります。
その意味で、請求と同時に現実的な解決策を提示したことが、本件の重要なポイントでした。
内容証明郵便で金銭請求を行う際の注意点
内容証明郵便は、金銭の返還を求める場面で有効な手段ですが、単に強い表現で請求すればよいわけではありません。
事情に応じて、何を求め、どのような解決を想定しているのかを整理したうえで文面を構成することが大切です。
- 貸付の経緯や返済状況を整理しておくこと
- 相手方に過度な威圧を与える文面にしないこと
- 一括請求か、分割案も含めるかを検討すること
- 後日の証拠として残ることを意識して記載すること
よくある質問
内容証明郵便を送れば必ず返金されますか?
必ず返金されるとは限りません。ただ、請求の意思を明確に示し、相手方に対応を促すきっかけになることは少なくありません。
電子内容証明郵便でも大丈夫ですか?
適切な形式で行えば、電子内容証明郵便も実務上有効な手段です。重要なのは、文面の内容と送付の組み立てです。
分割払いの提案を内容証明に入れてもよいですか?
状況によっては有効です。本件のように、一括払いが難しい可能性がある場合には、現実的な解決案として分割返済の枠組みを示すことがあります。
債務弁済承認契約書とは何ですか?
債務の存在や金額、今後の支払方法について相手方に確認・承認してもらうための契約書です。返済条件を明確にするために役立ちます。
少しずつ返済がある場合でも請求できますか?
はい、できます。定期的な返済があっても、返済条件全体が曖昧であれば、改めて整理する必要がある場合があります。
行政書士に依頼する場面はどのようなときですか?
金銭請求について、事実関係を整理したうえで、通知書や契約書を整えて進めたい場合にご相談いただくことがあります。
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金銭トラブルでは、請求だけでなく整理の視点も大切です
内容証明郵便は、相手方に請求の意思を伝えるためだけでなく、今後の返済条件や合意内容を整理するためにも活用できます。
感情的な対立を深めるのではなく、事実関係を整えたうえで進めることが重要です。
※個別事情により適切な対応は異なります。本記事は一般的な事例紹介であり、無断転載・複製を禁じます。
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46,430円(税込・実費込)
※ 実費(郵送料等)を含みます。

