賃貸物件の管理者や所有者の方であれば、以下のような事態に見舞われることも少なくないのではないでしょうか。
- 未払賃料を請求しているが一向に支払ってくれない
- 賃料の未払が数か月続いている
- 賃料の未払による退去を請求したい
このような問題は、出来る限り早く解決したいとお考えかと思います。未払賃料の催促は口頭やメール等の様々な方法が考えられますが、このような方法では、支払いに応じてくれないケースが多いように感じます。
そこで、内容証明郵便による支払いを請求されてみてはいかがでしょうか。内容証明で賃料の支払を催促することで、口頭やメール以上の効果が見込める可能性は高いです。その理由は、内容証明郵便の効果にあります。この記事では、内容証明によって賃料未払いの催促をすることを主題に、内容証明の効果や差出方法、その他関連する内容について、述べさせていただきます。
内容証明で賃料未払いの催告をするメリット
内容証明で支払いの催促をすることで、以下のようなメリットを得ることができます。
- 内容証明という普段見聞きなれない物を受け取ったことによるプレッシャーを与えることができる。
- 裁判となった場合に証拠書類として提出できる。
- 時効の完成を猶予することができる。(※1)
また、内容証明を内容証明を専門家に依頼することにより、「行政書士 ○○」といったの名称を内容証明の通知書内に記載することができますので、より強いプレッシャーを与えることができるでしょう。
※1)賃料の消滅時効である5年を一時的に中断することが可能です。これを時効の完成猶予と言い、基本的に相手方に内容証明が到達してから6か月間は猶予されますので、この期間内に裁判手続きを開始することとなります。
内容証明を未払い賃料の支払を請求する
内容証明による未払い賃料の請求方法を説明する前に、まずは「内容証明郵便」の基本的な定義やその差出方法について理解しておくことが重要です。これらを知っておくことで、未払い賃料の請求時に適切な手続きを踏み、確実に請求を行うことができます。
内容証明とは
内容証明は正式に「内容証明郵便」といわれ、日本郵便の説明によると「一般書留郵便物の内容文書について証明するサービス」とされています。内容証明を送ることで「いつ」「誰が」「誰に向けて」「どのような」文書を差し出されたかということを、差出人が作成した内容文書を郵便局によって証明することができます。
内容証明の差出方法
内容証明を送る方法は2つあります。一つ目は郵便局の窓口で送る方法です。郵便局で内容証明を送る場合には下記の書類を窓口に持参する必要があります。
- 内容文書(受取人へ送る書面)
- 内容文書のコピー 2通(差出人と郵便局が保管する書面)
- 差出人と受取人の住所氏名を記載した封筒
- 内容証明手数料
郵便局から内容証明を送ることのメリットとして、内容証明の手続について局員から説明を受けることができることが挙げられます。内容証明を送る二つ目の方法はインターネットから送る方法です。内容証明をインターネットから送るには、専用のページにログインする必要があります。インターネットから内容証明を送るメリットは①24時間いつでも送ることができる点②1ページに記載できる文字数が窓口で送るよりも多い点が挙げられます。
内容証明の書式
内容証明を送る場合は、字数・行数制限が明確に定められています。下記は、窓口で内容証明を送る場合の制限になります。
(窓口で送る内容証明)
縦書き:1行20字以内、1枚26行以内
横書き:1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内、1枚40行以内
1行26字以内、1枚20行以内
(電子内容証明)
電子内容証明の場合、1ページあたりに送ることができる最大の文字数は1584文字になります。
内容証明の例-テンプレート(ひな形)
内容証明により未払賃料の支払を求めるには、下記のような記載をした内容証明を送ります。
催告書 被通知人 通知人 私は、貴方に対し、下記⑴の不動産を下記⑵の契約で賃貸しております。しかし、貴方は令和○年1月から同年8月分までの家賃及び共益費の合計32万円の支払を遅滞しております。 記 ⑴不動産 ⑵賃貸借契約 つきましては、私は、本書面を以って貴方に対し、前記32万円全額の支払いを請求しますので、本書面を受領後5日以内に口座(○○銀行 ○○支店 普通預金 1234567)にお支払ください。万一、お支払がない場合は、契約解除並びに法的措置を検討しますので、ご了承ください。 |
内容証明によって未払い賃料の支払を請求できなかった場合
内容証明によって賃料の未払いを解決できなかった場合には、契約解除や強制執行の手続を検討する必要があります。これらの手続を下記に順を追って説明させていただきます。
1.連帯保証人への連絡
賃借人に内容証明を送って返答がないケースで、契約に連帯保証人を付けている場合には、連帯保証人に対し、賃借人の未払賃料を請求することができます。連帯保証人が素直に払ってくれた場合には、賃料の督促は終了します。しかし、滞納が長期間続いている場合には、連帯保証人による支払い後も賃料の未払いが予想されますので、今後の状況によっては契約解除や強制執行の手続を検討する必要があるでしょう。
2.契約解除の通知
上記1の手続により連帯保証人が、未払い賃料を支払わない場合には、契約解除をしましょう。契約解除は相手方に意思表示が確実に届かなくてはいけませんので、内容証明を再度送ることとなります。契約解除は内容証明と特定記録郵便による別便を併せて送るとよいでしょう。
3.明け渡し請求訴訟
契約解除により、相手が退去に応じない場合には明け渡し請求訴訟を起こす必要があります。ここでの注意は、建物の所有者は賃貸契約を解除したとしても、自ら解除した当該物件の強制退去の手続はできないということです。つまり、建物の所有者は契約解除後であったとしても、賃借人の部屋に勝手に入り賃借人の荷物を処分したりすることは違法な行為となります。そのため、建物の明け渡しから強制執行までの手続は必ず裁判の手続を経て行うようにしましょう。明け渡し請求訴訟は被告(賃料滞納者)の住所地を管轄する裁判所に対して下記の書類を持参し提起します。
(一般的に必要となる書類)
- 訴状
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産評価額証明書
- 予納郵便切手(約 6,000円)
- 収入印紙(訴額に応じた手数料)
- 建物賃貸借契約書
- 内容証明郵便及び同郵便の配達証明書(賃貸借契約解除を通知したもの)
4.強制執行
明け渡し請求訴訟で判決が出ても、相手が退去に応じない場合には、強制執行の手続により現実に債務者を立ち退かせます。強制執行の具体的な手続は、債務者が裁判所の執行官に対し強制執行の申立てをすることで移行します。強制執行の費用は、原則として債権者が費用を負担しなければならず、強制執行の申立てにかかる費用以外に、負担する主な費用として、建物内の家具や家財を撤去する費用などがかかります。
賃料滞納者が夜逃げした場合の手続
賃料滞納者が突然、物件から出て行き連絡が取れなくなってしまった場合には、連帯保証人がいる場合には、連帯保証人に対し未払の賃料を請求しましょう。連帯保証人がいない場合には、内容証明により契約解除(賃料未払いの発生から3か月以上経っていることが原則)を実施し、上記【内容証明によって未払い賃料の支払を請求できなかった場合】の”3”以降の手続に移行します。
賃料未払い請求の内容証明のご相談は
内容証明による未払い賃料の請求のご相談は当事務所にお任せください。
当事務所に内容証明をご相談とご依頼いただくことで、的確な内容証明の文書を作成し、行政書士としての記名付の内容証明を相手方に送ることができるメリットがあります。また、作成にかかる時間も1週間程度(お急ぎの作成は最短当日に作成可能です。)ですのでお急ぎの方であってもご安心してご依頼いただけます。
お客様の声
下記は、当事務所にご依頼いただいた方からいただいたお声です。詳細はこちらをご確認ください。
とにかくスピード感有ります。 内容を把握して解決策を提案していただきました。 また今度もお願いしようと思います。 相談の他にもビジネスの話しにも話題になって大変興味深い内容でした。
対人関係の悩みについて相談しました。最初は何もかも不安でしたが、大倉様とやり取りをしてこちらの意図も汲み取り、迅速丁寧に対応していただき無事に完了できました。また何かあれば、是非依頼したいと考えております。この度はありがとうございました。
内容証明郵便を依頼しました。初めてだったので凄く不安でしたが、親身になって相談を聞いていただきました。仕事が早急に進み安心しました。また何かありましたら何卒宜しくお願いいたします。
金額表
当事務所に内容証明のご依頼をいただいた場合の金額は下記です。
サービス | 金額 | 概要 |
⑴未払賃料に対する内容証明の通知 | 30,000円 | 未払賃料の催促を内容証明郵便によって行います。代行の内容は内容証明の作成及び郵送から内容証明の謄本及び配達証明書の郵送まで丸投げで行います。 |
⑵契約解除通知の内容証明の通知 | 30,000円 | 契約解除の通知を内容証明郵便によって行います。代行の内容は前記⑴の概要と同様です。 |
⑶未払賃料の催促及び契約解除通知の内容証明の通知 | 45,000円 | 未払賃料の催促と支払いが無かった場合の契約解除通知を内容証明郵便によって行います。代行の内容は前記⑴の概要と同様です。 |
※)前記サービスの金額の他に、実費(内容証明郵送費、レターパック代又は切手代)が必要となります。
内容証明で賃料未払いを請求する―よくある質問
Q1.内容証明で送る最大のメリットは何ですか?
内容証明を送ることで、内容証明の内容や送った日付が郵便局によって証明されます。そのため、裁判等で相手が「このようなことは聞いていない」等の言い逃れができなくなります。
Q2.賃料未払いが続いているので、自ら強制退去してもよいですか。
裁判手続きを経ずして、賃借人の契約している物件の物を勝手に処分することは違法です。必ず裁判の手続(明け渡し請求訴訟)の判決を得てから強制執行の手続を行いましょう。
Q3.賃料滞納の内容証明を送ることは難しいですか
内容証明を送ること自体は難しくはありません。郵便局にいくと局員の方が丁寧に郵送する方法や書式を説明していただけます。
Q4.内容証明郵便で気を付けることはなんですか?
賃料滞納に対する内容証明郵便を送る際には⑴請求する金額⑵請求金額の支払を求める期日⑶支払い先の口座は最低限記載する必要があるでしょう。
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