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内容証明郵便で元金と遅延損害金を請求したい/遅延損害金はいつから発生する?

内容証明郵便で元金と遅延損害金を請求したい/遅延損害金はいつから発生する?

「返してもらう約束のお金が返ってこない」「返還期限を過ぎているので、元金だけでなく遅延損害金も請求したい」という場合、内容証明郵便を使って請求内容を明確にする方法があります。重要なのは、返還を求める根拠、元金額、返還期限、遅延損害金の起算日と利率を分けて整理することです。内容証明を送れば自動的に支払義務が確定するわけではありませんが、いつ・どのような内容で請求したかを残す手段として有用です。

  • 返還を求める元金と遅延損害金は分けて記載する
  • 遅延損害金は「いつから発生するか」の確認が重要
  • 利率は契約内容と法定利率の両方を確認する
  • 内容証明には請求根拠と支払期限を具体的に書く
  • 返還義務そのものに争いがある場合は、送付後の手続も想定する

内容証明で返還金と遅延損害金を請求できるのか

金銭の返還義務があり、その履行が遅れているのであれば、返還すべき元金と遅延損害金を併せて請求することは考えられます。ただし、「お金を渡した」という事実だけで、常に返還請求と遅延損害金の両方が認められるわけではありません。

たとえば、貸したお金の返還、立替金の精算、預け金や保証金の返還、契約解除後の返金、誤送金や法律上の原因がない支払の返還などでは、返還を求める法的な根拠や返還時期が異なります。したがって、内容証明を作成する前に「なぜ相手が返還しなければならないのか」と「いつ返すべきだったのか」を整理する必要があります。

請求項目確認する内容注意点
返還金の元金実際に交付・支払・預託した金額振込履歴、領収書、契約書などと金額を一致させる
利息元本を利用させる対価として発生するものか遅延損害金とは性質が異なるため混同しない
遅延損害金返還が遅れたことによる損害賠償起算日と利率の根拠を確認する
郵送費・その他費用契約や法律上の請求根拠があるか当然に全額を上乗せできるとは限らない

内容証明は、一般書留郵便物の内容文書について、いつ、どのような内容の文書を誰から誰宛てに差し出したかを証明する制度です。一方で、文書に書いた事実が真実であることや、請求した金額が法的に正しいことまで郵便事業者が証明するものではありません。

「内容証明を送れば相手に強制的に払わせられる」というものではありません。内容証明の役割は、請求の意思と内容を明確にし、後日の証拠として残しやすくすることにあります。

遅延損害金はいつから発生するのか

金銭請求で最も間違いやすいのが、遅延損害金の開始日です。相手にお金を渡した日から当然に遅延損害金が発生するわけではなく、原則として相手が「返すべき時期を過ぎた」と評価できる時点を確認します。

返還期限が具体的に決まっている場合

「令和8年8月31日までに返還する」のように期限が明確で、その期限が到来しても返還されなかった場合は、期限到来後の遅延について遅延損害金を検討します。内容証明を送る時点で既に期限を過ぎているのであれば、元金だけでなく、遅延が始まった日を特定したうえで遅延損害金を記載することが重要です。

この場合、内容証明で改めて「○日までに支払ってください」と期限を設けることはできますが、もともとの返還期限と、内容証明で設定する最終的な支払期限は別の意味を持つことがあります。既に発生している遅延損害金を放棄したり、返還期限そのものを延長したりする意図がない場合は、文章の組み立てに注意が必要です。

返還期限を決めていなかった場合

返還時期を一切決めていない金銭債務では、請求を受けた時点が重要になる場合があります。そのため、いつ請求したのか、相手にいつ到達したのかを後から確認できるようにしておく意味があります。

内容証明に配達証明を付けると、配達された事実を確認しやすくなります。特に、これまでLINEや口頭でしか返還を求めておらず、その日時がはっきりしない場合には、書面による請求時期を整理する手段として有効です。

契約解除や返金請求では別の整理が必要なことがある

売買、業務委託、サービス契約などを解除して既払金の返還を求める場合は、単純な貸金返還とは異なります。解除が有効か、いつ返還義務が生じるか、受領時からの利息が問題になるのか、それとも履行遅滞後の遅延損害金を問題にするのかなど、請求の法的構成によって書き方が変わります。

そのため、「支払った日から今日まで一律に遅延損害金を請求する」と決めつけるのは避けた方が安全です。返還請求の原因が貸付けなのか、解除なのか、不当な受領金の返還なのかを先に整理してください。

遅延損害金の利率はどう決めるか

遅延損害金の利率は、まず契約書、借用書、合意書、申込書、利用規約などに定めがないかを確認します。「支払を遅滞した場合は年○%の遅延損害金を支払う」といった約定がある場合、その内容が検討対象になります。

約定がない場合は、法定利率を基準として遅延損害金を算定する場面があります。2026年9月時点では、2026年4月1日から2029年3月31日までの法定利率は年3%です。ただし、法定利率は制度上変動する仕組みであり、実際の請求では「現在の利率」だけを見るのではなく、相手が遅滞の責任を負い始めた時点に適用される利率を確認することが重要です。

また、契約書に高い遅延損害金率が書かれていても、当事者の属性や契約の種類によっては、利息制限に関する法律や消費者保護の強行規定など別の制限が問題になることがあります。契約書に数字があるという理由だけで、その割合をそのまま請求書へ転記しないようにしてください。

遅延損害金は「元金×利率×遅延期間」を基礎に計算しますが、起算日、終期、日割り方法、うるう年、約定内容などで扱いが変わることがあります。請求額を確定表示する場合は計算根拠まで確認しましょう。

通常の利息と遅延損害金を二重に考えない

貸付けの契約では、返還期限までの期間について「利息」が定められ、返還期限を過ぎた後について「遅延損害金」が定められていることがあります。この二つは同じ名称ではなく、発生する理由と期間を分けて確認する必要があります。

たとえば、契約書に通常利息と遅延損害金の両方が記載されている場合、どの期間にどちらを適用するのかを確認せず、単純に両方を同じ期間へ加算すると請求額を誤るおそれがあります。反対に、遅延損害金の定めしかないのに、返還期限前からその割合を適用することも適切とは限りません。内容証明では、元金、期限までの利息がある場合の金額、期限後の遅延損害金をそれぞれ区別して記載すると、相手にも請求内容が伝わりやすくなります。

内容証明に記載したい事項

金銭の返還と遅延損害金を請求する内容証明では、感情的な表現を増やすより、相手が「何の支払を、いくら、いつまでに求められているのか」を理解できる構成にする方が実務的です。

  1. 当事者と取引を特定する 誰と誰の間で、いつ、どのような理由で金銭が交付されたのかを簡潔に記載します。
  2. 返還義務の根拠を書く 貸付け、立替え、預託、契約解除後の返金など、返還を求める理由が分かるようにします。
  3. 元金額を明示する 既に一部返金を受けている場合は、当初額と残額を取り違えないよう整理します。
  4. 遅延損害金を特定する 利率と起算日を示し、必要に応じて「支払済みまで」のように終期を整理します。
  5. 支払期限と方法を示す 最終的にいつまでに、どの方法で支払うのかを明確にします。
  6. 不払いの場合の方針を書く 必要に応じ、法的手続を検討する旨を穏当な表現で記載します。

文章のイメージは、次のように「元金」と「遅延損害金」を分けると分かりやすくなります。

貴殿に対し、○○に基づく返還金として金○○円を請求します。返還期限は○年○月○日であり、現在まで支払がありません。したがって、上記元金に加え、○年○月○日から支払済みまで年○%の割合による遅延損害金を併せて請求します。ついては、本書面記載の支払期限までに所定の方法でお支払いください。

実際には、返還義務の根拠、期限、利率がそれぞれ正しいことを確認してから使用します。特に、期限を決めていなかった案件で、過去の日付から当然に遅延損害金が発生しているような文面にするのは避けるべきです。

送付前に確認したい証拠と計算

内容証明そのものは、返還請求権の存在を証明する書類ではありません。相手が「借りていない」「もう返した」「贈与でもらった」「解除には応じていない」などと反論した場合に備え、請求根拠を裏付ける資料を整理しておく必要があります。

  • 契約書、借用書、合意書、申込書
  • 銀行振込や送金サービスの履歴
  • 領収書、預り証、精算書
  • 返還約束や返還期限が分かるLINE・メール・SMS
  • 一部返済がある場合の入金記録
  • 契約解除を前提とする場合は解除通知や契約関係資料

内容証明は原則として文書1通を内容とする取扱いなので、契約書のコピーや大量の資料を同封して証拠一式として送る方法には向きません。本文中で契約や振込の事実を特定し、必要な資料は手元で保管しておく、または必要に応じて別の方法で送付することを検討します。

遅延損害金については、請求時点までの確定額を記載する方法と、「元金○円及びこれに対する○年○月○日から支払済みまで年○%」のように割合で示す方法があります。どちらが適切かは、送付目的やその後の手続を見据えて判断します。

内容証明を送っても支払われない場合の次の対応

相手が内容証明を受け取っても支払わない場合、内容証明だけで預金や給与を差し押さえることはできません。支払を強制するには、原則として裁判所の手続などを経て、強制執行の根拠となるものを取得する必要があります。

金銭請求では、事案に応じて支払督促、民事調停、通常訴訟などが検討されます。60万円以下の金銭の支払を求める事件であれば、少額訴訟が選択肢となることもあります。ただし、相手が請求原因そのものを強く争っている場合や、証拠関係が複雑な場合は、どの手続を選ぶか慎重な判断が必要です。

内容証明を送る段階から、その後の手続でも説明できるよう、請求額、返還根拠、支払期限、遅延損害金の起算日を一貫させておくことが大切です。後から請求内容を大きく変更すると、相手に反論材料を与えたり、自分自身の説明が複雑になったりすることがあります。

行政書士に依頼できる範囲

行政書士は、当事者から事情や資料を確認したうえで、内容証明郵便として送付する通知書・請求書などの作成を支援できます。事実関係を時系列で整理し、請求する元金、期限、遅延損害金の記載方法を文書として分かりやすく整えることは、内容証明作成の重要な作業です。

一方で、相手方との代理交渉、訴訟代理、紛争性の高い個別案件についての法律判断を行政書士が行えるわけではありません。相手が債務の存在を全面的に否定している、契約の有効性が大きく争われている、高額な損害賠償を含めて交渉する必要がある、といった場合は、弁護士への相談が適切なことがあります。

「まずは自分名義で正式な返還請求を送りたい」「口頭やLINEで何度も催促したが、請求内容を一度整理して書面化したい」といった場面では、内容証明の利用を検討しやすいでしょう。

よくある質問

遅延損害金の約束をしていなくても請求できますか

約定がない場合でも、金銭債務の履行遅滞について法定利率を基準とする遅延損害金が問題になることがあります。ただし、返還義務がいつ発生し、相手がいつから遅滞の責任を負うかを先に確認する必要があります。

お金を渡した日から遅延損害金を請求できますか

必ずしもできるわけではありません。返還期限を定めていたか、請求を受けることで返還時期が問題になる債務か、契約解除に伴う返還かなどで起算点が異なります。支払日をそのまま遅延損害金の開始日とするのは危険です。

内容証明を受け取れば相手は必ず支払わなければなりませんか

内容証明の受領だけで請求内容が確定したり、強制執行ができるようになったりするわけではありません。相手が任意に支払わない場合は、請求内容と証拠を整理したうえで裁判所の手続などを検討します。

契約書に高い遅延損害金率が書かれていればそのまま請求できますか

契約書の定めは重要ですが、契約の種類や当事者の属性によっては強行法規による制限が問題になります。記載された率をそのまま用いる前に、適用される法規制を確認してください。

内容証明の郵送料や行政書士費用も相手に請求できますか

支出した費用があるというだけで、当然にその全額を相手へ請求できるとは限りません。契約上の定めや損害としての法的根拠があるかを別途確認する必要があります。

まとめ

内容証明で金銭の返還と遅延損害金を請求する場合は、単に「返してください」と書くのではなく、返還義務の根拠、元金額、返還期限、遅延損害金の起算日、利率、支払期限を順番に整理することが重要です。

特に遅延損害金は、相手にお金を渡した日から当然に発生するものではありません。返還期限を定めていたのか、いつ正式に請求したのか、どの利率が適用されるのかを確認したうえで記載します。内容証明は請求内容を証拠として残しやすくする有効な手段ですが、支払や勝訴を保証するものではありません。送付後も支払がない可能性を考え、証拠と請求内容を一貫して整理しておくことが大切です。

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