内容証明で家賃滞納者に通知する
入居者の家賃の滞納があり、対処方法をご検討されている大家様も少なくはないのではないでしょうか。家賃滞納者への対処方法として一般的に考えられるが内容証明の通知です。内容証明とは、「誰が誰に対しどんな内容の文書をいつ差し出した」とうことを郵便局によって証明可能なサービスのことです。内容証明は、どこの郵便局にでも扱いがあるわけではなく、集配郵便局等の大きな郵便局でのみ取り扱われています。
この記事では、前半で内容証明によって家賃滞納者に対して通知する方法や内容証明により期待できるメリットについて述べ、後半では家賃滞納者に対する内容証明のテンプレートや弊所にご依頼いただいた場合の料金について述べております。ぜひ最後までご覧ください。
内容証明は家賃滞納によく用いられるの?
内容証明は、どのような場合に用いられるのでしょうか。内容証明を利用するケースとしては、法律により意思表示を「いつ」したのかを示した日付の確定が求められる場合で、内容と日付の証明が必要な場合に利用します。
家賃滞納のケースでは、滞納が続くようであれば、後に明け渡し訴訟や契約解除を求める訴訟を提起する場合があり、これらの裁判では証拠が求められますので、内容証明を事前に送っておくことで、内容証明が有効な証拠として、裁判を有利に進めることができます。
内容証明は家賃滞納者に送るケース以外にも、「金銭の請求」や「時効の援用」、「遺産分割協議の申出」等の意思表示を行った旨や日付が証拠として重要意味を持つ場合によく用いられます。
内容証明を家賃滞納者に対して通知するメリット2つ
内容証明を家賃滞納者に対して送るメリットは、上記の通知した内容を証明する目的以外にも下記のようなメリットが挙げられます。
これらのメリットを理解することは、通知をする上でとても重要です。
◆メリット1 相手に対して心理的に圧迫を与える
内容証明は、裁判手続きを前提として使用されることが多く、日常的に利用されるものではありません。そのため、大体の方が受け取ることに慣れておらず、郵便局から厳格な書留による郵便を受け取ることで、心理的な圧迫を与えることができます。また、内容証明では大家様の訴訟の意思を強く伝えることができますので、通知による効果だけでなくその内容についても滞納者に対して、同様の効果を期待することができます。
◆メリット2 訴訟時の証拠として有効
内容証明によって、家賃の督促や契約の解除を行うことで、これによる訴訟が生じた際に裁判で内容証明を証拠として提出し、督促や契約解除の意思表示を証明することができます。口頭によるこれらの行為も可能ですが、証拠が残らないため、後に「言った」「言っていない」の水掛け論になってします恐れがあります。しかし、内容証明を利用することで、これらのことが生じることはありませんので、有効な意思表示を書面によって証明することができます。
内容証明を郵便局で送る方法
内容証明は郵便局に配達を依頼する手紙の一種ですが、ポストに投函して利用することはできません。通常、速達であれば普通郵便の切手に追加で「260円」の切手を貼ることで速達扱いとなりますが、内容証明はそのような利用はできず、出し方にルールがあります。以下には、内容証明を利用する際に必要な物と利用する際の注意を記載致します。内容証明の書き方や文字数の制限については以下の関連記事をご確認ください。
【関連記事】
>内容証明を自分で作成するには?書き方はこちら
>内容証明の文字数制限
内容証明を郵便局で送る―必要な物
内容証明を郵便局で送るには下記の物を準備した上で、郵便局に出向く必要があります。内容証明は郵送するのに通常、30分~40分程度かかりますが、郵便局の込み具合によっては1時間ほどかかる場合もありますので、平日の夕方など空いている時間を選び行きましょう。
◆内容証明の必要物
- 内容証明3通(差出人、受取人、郵便局保管用)
- 封筒1枚(差出用の封筒です。差出人と受取人の住所氏名を明記した者が必要です。)
- 内容証明郵便費用(約2,000円程あれば内容証明を利用することができます。)
- 印鑑(内容を訂正する際に使用する場合があります。)
内容証明を利用する際の注意
内容証明に関する注意
内容証明は、内容文書を「いつ」「誰が」「誰に」「どのような文書を」送ったことを証明することはできますが、内容証明が差出人から受取人に無事に配達されたかどうかの確認はできません、そのため、内容証明を利用する際には、配達証明を付けて送るのが一般的です。配達証明とは一般書留とした郵便物や荷物について、配達したことを証明するサービスのことです。内容証明は一般書留で送られますので、別途一般書留を追加で選択する必要はありません。
内容証明を家賃滞納者に対して対して送る場合の注意
内容証明を家賃滞納者に対して送る場合、自身で管理している物件に対して内容証明を送る場合があります。内容証明は書留郵便での郵送になりますので、相手が既にその物件に住んでいない場合には、内容証明による意思表示が相手に対して有効に通知されないので、内容証明の差出が無駄になってしまう場合があります。そのため、内容証明を送る前に現在もその住所に出入りしている実態はあるのかを調べた上で送るようにしましょう。
万一、既に住居にいない場合には家賃を滞納したまま夜逃げしたケースが考えられます。このようなケースでは内容証明を送るため、相手住所の変遷を調べたとしても住民票を移していない可能性が高いので、事件性がある場合には警察に連絡し、事件性がない場合には訴訟を提起して裁判手続きへ移行することが相当です。
内容証明で家賃滞納者に対して送ったが返答がない場合
家賃滞納者に対して内容証明を送ったけれど、その後も支払いがない場合の対処はどのようにすればよいでしょうか。最近では賃貸を契約する前に家賃保証会社と契約するケースがありますので家賃滞納があっても、1カ月程度は家賃保証会社から大家に家賃相当額が支払われます。しかし、家賃保証会社と契約していない賃貸物件の大家は、下記のような対処方法が考えられます。
1.連帯保証人に連絡する
家賃の滞納が2カ月以上継続した場合には、連帯保証人に対して連絡することを検討してもよいでしょう。連帯保証人は賃貸人と同等の債務を負うとされていますので、大家は連帯保証人に対して支払いを請求することができます。また、連帯保証人に対して滞納者に支払いするよう連絡することを要求することもできますので、大家から滞納者に連絡が繋がらない場合には、そのような手段も有効です。
2.賃貸借契約を解除する。
相手に対し賃貸借契約の解除を行うことが考えられます。滞納者に対して、賃貸借契約の解除をするためには、民法により3か月以上の滞納が必要とされます。なお、賃貸借契約を解除した場合であっても、大家は滞納者に対して、賃貸物件から強制的に追い出したりすることはできず必ず裁判手続きを経てから強制退去の手続を行うことになります。(自力救済禁止の原則)
家賃滞納者に対する内容証明のテンプレート(ひな形)
家賃滞納者に対する内容証明のテンプレートを記載します。こちらは実際にご依頼いただいた際に、提供させていただくものと異なります。ご依頼の際には、ご依頼者様の状況を聞き取り、状況に応じ、ベストな方法や内容を提案させていただきます。下記のテンプレートは家賃滞納の全てのケースに当てはまりませんので、使用される場合はご自身の責任にご使用ください。
通知書 令和○年○月○日 被通知人 通知人 冠省 記 1.契約日:令和○年○月○日 しかし、貴方は、令和○年から現在に至るまで5カ月分の賃料30万円の支払を行っておりません。つきましては、私は、貴方に対し、賃料30万円を令和○年○月までに下記の振込口座に振込手数料をご負担の上、お支払いただくことを請求いたします。 万一、期限内にお振込みいただけない場合には、やむを得ず契約解除やその他法的手続きに移行することを申し添えます。 記 ○○銀行○○支店 |
内容証明を家賃滞納者に対して行政書士が通知する
弊所では内容証明を専門として、開業当初から取り扱っており、年間約100件のご相談を受け、対応してきた実績があります。内容証明は一般的に利用されるものではありませんので、初めての方が調べながら郵送するには大きな労力・時間がかかります。また、大家様の場合には、賃貸の管理などで時間を要しますので、内容証明の差出まで対応しているとかなりの激務になるかと思います。行政書士であれば、内容証明の作成から差出まで丸投げで対応させていただけますので、ご自身の本業に専念し、内容証明については丸投げで対応させていただくことができます。
上記以外の対応させていただいたお客様の声はこちらからご確認いただけます。
内容証明を家賃滞納者に対して通知する―料金
弊所では、内容証明について作成や差出代理はもちろんですが、ご自身で作成された内容証明について確認し、行政書士の名称を記載した上で郵送させていただくサービスも実施しております。それぞれの料金は下記をご確認ください。
⑴内容証明の作成と差出
家賃滞納者に対する内容証明の作成と差出を下記の料金により対応させていただいております。
業務内容 | 案件(受取方) | 料金 |
〃 | 定型外文面(個人、法人) | 30,000円~ |
内容証明トータルサポート | 内容はお問い合わせください。 | 40,000円~ |
※)通知書の内容によっては対応させていただけない場合や料金に変動がある場合がありますのでご了承ください。
内容証明を家賃滞納者に対して通知する‐よくある質問
よくある質問は随時更新して記載致します。
Q1.アパートを経営しており、家賃を6か月滞納する入居者がいるので、内容証明で滞納料金を請求し、月末までに支払わない場合には契約を解除し、訴訟する旨の通知をしました。月末前に、3か月分の家賃が振り込まれてきましたが、残りは振り込まれることなく月末を迎えました。この場合には、契約解除が可能でしょうか。
A 滞納賃料の全額が支払われたわけではないので、契約解除を有効として訴訟の提起が可能かと思われます。