内容証明で金銭の返済を請求するには？
内容証明郵便（以下「内容証明」といいます。）とは、書面の内容や郵便を送った日付を郵便局によって証明する郵便サービスの一つです。内容証明は、知人にお金を貸して、そのお金が返済期日を経ても返ってこない場合に、相手に貸したお金の返済意思があるのかや、自らが返済の請求をしたことを後の証拠とするために利用されます。内容証明は上記金銭の返済請求のほかにも時効の援用通知、クーリングオフの通知等によっても利用されることがあります。
こちらの記事では、内容証明によって知人に貸したお金を請求する方法や手順、内容証明の記載例について記載しております。
内容証明で返済を請求する方法
内容証明を利用するためには、郵便窓口もしくはパソコンによって内容証明郵便を発送することになります。一般的には、パソコンによって送る内容証明は郵便サイトへの登録（ログイン）が必要ですので、郵便窓口から発送するケースが多いです。そのため、下記は郵便局の窓口から内容証明郵便を送る手続の流れを記載致します。
１．内容文書の作成
内容文書とは、内容証明郵便に記載する文章のことです。郵便局の窓口から送る内容証明は１ページあたり記載できる文字数や使用できる記号が決まっています。したがって内容証明を作成する際には、下記のサイトより内容証明を利用できる条件を調べたうえで作成するようにしましょう。内容文書は手書きによる作成も、Word文書等のパソコンによる作成も可能です。
⑴１ページ当たりに記載できる文字数
| 区別 | 字数・行数の制限 |
| 縦書きの場合 | 1行20字以内、1枚26行以内、合計520文字 |
| 横書きの場合 | 下記⑴～⑶のいずれか ⑴1行20字以内、1枚26行以内 ⑵1行13字以内、1枚40行以内 ⑶1行26字以内、1枚20行以内 合計520文字 |
関連サイト：内容証明ご利用の条件等
２．必要書類の準備
内容証明を郵便窓口で送る際には、内容文書と併せて下記のものを準備しておきましょう。
- 内容文書（受取人）
- 内容文書の謄本２通（差出人と郵便局保管用でコピー可）
- 差出人および受取人の住所氏名を記載した封筒
- 内容証明の加算料金を含む郵便料金（3,000円程で十分です。）
- 印鑑
３．内容証明の差出
郵便窓口で、前記２の書類を提出し内容証明を送ります。内容証明を送る際は、配達証明を必ずつけて送りましょう。窓口の方は親切な方が多いので「配達証明を付けますか。」と聞かれるケースが多いですが、何も聞かれない場合も当然にあります。配達証明なしで送ると受取人に対し、内容文書により意思表示をしたことや、内容証明が到達しているかの証明が難しくなります。
【郵便窓口で要する時間】
内容証明を送る際は、郵便認証士等による確認がなされますので、３０分程時間を要します。そのため、事前に内容証明を差し出す際は、郵便局に連絡したうえで余裕を持って出向くと良いでしょう。
内容証明で返済請求する場合に記載すべきこと
内容証明によって相手方に対し、金銭の返済を請求する場合には、下記の内容を記載することが重要です。
- 金銭を貸し付けた事実
- 返済を請求する金額と利息
- 返済を請求する期日の定め
- 返済すべき期日を過ぎていること
金銭を貸し付けた事実
返済請求の通知書には、金銭を貸し付けた事実を記載すべきです。自分では、お金を貸したことが分かっていても、相手がお金は貰ったと考えている場合があります。また、内容証明は後に裁判となった時の証拠となる場合がありますので、貸したことを記載していなければ、お金の返済を請求する理由が内容証明によって確認できません。
返済を請求する金額と利息
返済を請求する金額は出来る限り、特定しましょう。期日が過ぎていて遅延損害金を請求する場合に「貸付金○円に対し、貸付日の翌日から返済期日までの利息○円及び返済期日の翌日から完済までの年○％の割合による遅延損害金を加えた額」などのような記載をすることもできますが、これを受け取った人の大半は結局いくら支払えばよいのかわかりません。このように、いくら払えばよいのかわからない内容証明を作成するよりも、「元本〇円と貸付日から本日までの利息○円を足した○円」のように請求する金額を明確にしておくことで、相手に対し支払いやすい状況を作ることが出来ます。しかし、この場合には遅延損害金を内容証明によって請求することはできませんので、文中の末尾に「万一、期日までに返済が無い場合には上記金額に加えて返済期日の翌日から完済までの年○％の割合による遅延損害金を加えた額や訴訟費用等を請求します。」のように記載するとよいでしょう。
返済を請求する期日の定め
返済請求の通知書には、金銭の返済をいつまでに請求するかを記載しておきましょう。期日を設けなければ相手もいつまでに請求の金額を支払えばよいのか分かりません。また、期日を記載することで、相手が行動に移しやすい心理が働くことが予想されます。
内容証明によって返済をする―予備知識
１．差出人と受取人は必ず記載する
内容証明には、文書の差出人と受取人を必ず記載しましょう。これらの内容が未記載であれば、内容証明を送ることが出来ません。
２．冒頭の挨拶は不要
内容証明では、「拝啓 平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。」等の書きだしの挨拶は不要です。一般的には何も記載しない場合が多いですが、「冠省…」から記載し始めることもできます。
３．表題は記載してもしなくてもよい
表題とは書面の上部に記載する「通知書」「催告書」等の書面のタイトルのことです。内容証明を送る際は、通常このような表題を記載して送ることが一般的ですが、表題が無くとも有効な内容証明を作成し、意思表示を行うことが出来ます。そのため表題の書き忘れや、表題の誤表記によりご心配されることはありません。
４．内容文書以外の書面は送ることが出来ない
内容証明を利用する場合には、内容文書以外の書面を相手に送ることが出来ません。そのため、内容文書に記載ある内容に補足して説明する書類（※）を別で送る場合には、内容証明以外の郵便によって送る必要があります。これは普通郵便でも差し支えありませんが、特定記録郵便によって内容証明によって送った文書のコピーを同封して送るケースが多いです。
※）例としては「契約書には○○とありましたが、○○でした。」という記載を内容証明にする場合には、内容証明の文中の末尾などに「契約書のコピーを別便によって本書面と併せてお送りします。」のように記載しておくと相手が、当該契約書を探さずとも別便のコピーによって確認できますので、迅速な解決が期待できます。
内容証明によって返済を請求する―通知書の例（ひな形）
| 通知書 令和６年２月１日 被通知人 通知人 本通知書は、私こと内容太郎が貴方に対して令和６年１月１５日に貸し付けた金５万円について、私が、貴方に対し、貸金返済債権を有することを確認すると共に、指定する銀行口座に振込による方法で貸金の返済を受けることを目的として通知致します。 記 （返済期限） （返済方法） （振込先の表示） 以上 |
内容証明郵便の作成と差出はお任せください
内容証明による金銭の返済請求は当事務所にお任せください。内容証明はご自身で作成することも可能ですが、当事務所にご依頼いただくことで、専門的な視点によって相手に対し金銭の返済を請求させていただきます。また、当事務所で作成する内容証明は、行政書士名を記載して発送しておりますので、通常よりも強いプレッシャーを与えることが期待できます。
料金
| サービス | 料金 | 概要 |
| 金銭の返済に関する通知書 | ３０，０００円～ | 内容証明により相手方に対し、金銭の返済を請求致します。こちらの料金に、作成と差出及び行政書士名の記名が含まれております。 |
| 内容証明郵送費 | ２，０００円程 | 内容証明の郵送にかかる費用です。 |
お客様の声
 | 金銭の請求に関する内容証明郵便を依頼させて頂きました。 このようなトラブルは初めての経験でどのように進めればよいのか分からなかったのです。大倉様はとても丁寧に教えて下さり、内容証明郵便の内容も私の希望内容をしっかりと記載してもらえました。また、内容証明郵便の郵送後の対応についても教えてくださいましたので、助かりました。 この度は本当にありがとうございました。 |
 | 内容証明書類を依頼しました。他の事務所に相談してもなかなか納得のできる解決策がなく途方に暮れておりましたが、話をお伝えし約２日で対応して頂き大変助かりました。お忙しいところ無理を言って申し訳ございませんでした。 費用も色々と説明をしていただきましたので、納得できる内容だと思います。 |
その他のお客様の声は、当事務所のホームページ「お客様の声」よりご確認いただけます。
内容証明で返済を請求するメリット
相手に返済のプレッシャーを与えられる
お金の返済を請求した場合でも、いきなり裁判をするケースは少なく、まずは話し合いによる解決を検討するケースがほとんどかと思います。話し合いによって相手に返済の意思がないと判断した場合には、内容証明を支払期限を定めて送り、もし支払いが無ければ、法的措置も検討する旨を伝えておきます。内容証明によって、裁判を辞さない旨を強く伝えることで、相手に心理的プレッシャーを与えることができます。
相手に否定をさせない
単なる手紙による返済の通知では、後々トラブルに発展したときに、相手方に「そのような返済請求は知らない。」と債務と返済請求の事実を否定される場合があります。しかし、これを内容証明によって送ることで、差出人と郵便局に内容証明の謄本が存在するため、受取人（相手方）は言い逃れができません。
内容証明によって返済を請求する―よくある質問
Q１．配達日や配達希望日時の指定はできますか？
郵便窓口であれば可能です。電子内容証明はできません。
Q２．相手が内容証明を受け取らない場合もあるのでしょうか。
あります。不在により内容証明を直接受け渡すことが出来なかった場合には、不在配達通知書が受取人の住所地の郵便受けに投函されます。その後、受取人から再配達依頼や窓口による受領がなされない場合には、約1週間、郵便局で保管され、その後、郵便局から差出人の住所宛に「不在の為受取がされなかった」内容が記載された内容証明が届きます。なお、差出人が受け取りを拒否した場合には、「受け取りが拒否された」内容が記載された内容証明が届きます。後者の場合には、意思表示は到達したものとみなされます。
Q３．内容証明郵便は外国人が利用できますか？
可能です。ただし、内容証明に記載する文章は日本語で記載しなければいけません。なお、窓口で内容証明を提出する場合には、判子の代わりにサインを署名し送ることができます。
Q４．内容証明には住所を記載しなければいけませんか。
はい。しかし、代理人（行政書士等）によって作成する場合には、住所を記載する必要はありません。
Q５．内容証明はどこの郵便局でも手続きできますか？
特定の比較的大きな郵便局でしか手続きを行うことができません。
Q６．対応範囲を教えてください
当事務所は、大阪市鶴見区にある事務所ですが、内容証明は大阪市以外にもその周辺の守口市や豊中市はもちろん、他府県からのご依頼にも対応させていただいております。
