創価学会を脱会しようとしたとき、「自宅にある御本尊はどうすればよいのか」「退会届と一緒に本部へ送ればよいのか」と迷うことがあります。インターネット上では「必ず返却する」「自分で処分できる」などさまざまな説明がありますが、こうした情報だけを根拠に判断するのはおすすめできません。
創価学会の公式サイトでは、会則上、会員が「退会または除名」によって会員としての地位を失うことは確認できます。一方、公開されている会則を確認する限り、退会時の御本尊について、返却先・返却方法・返却期限まで一律に定めた手続は示されていません。そのため、退会の意思表示と御本尊等の物品の返却は、いったん分けて整理することが重要です。
この記事では、創価学会を脱会したい方が、御本尊を含む物品についてどのように確認し、退会通知と返却をどのような順番で進めればよいのかを実務的に解説します。
創価学会を脱会したら御本尊は必ず返却しなければならない?
最初に押さえておきたいのは、「創価学会を脱会するなら、どのような場合でも御本尊を必ず特定の方法で返却しなければならない」と一律に断定することは適切ではないという点です。
創価学会の公式サイトでは、御本尊について、信仰の根本対象として位置付けられていることが説明されています。また、創価学会の会則では、会員は退会または除名によって会員としての地位を失うことが規定されています。
しかし、一般公開されている会則の「退会」に関する規定を見る限り、御本尊をどこへ、いつまでに、どの配送方法で返却しなければならないかという詳細までは記載されていません。
したがって、実際に返却を希望するときは、現在の公式な取扱いを確認したうえで進めるのが安全です。
ポイント
「脱会できるか」という問題と、「手元にある御本尊をどうするか」という問題は、同じものではありません。物品の返却方法がすぐに決まらなくても、まず本人の脱会意思を明確に伝えることを検討できます。
創価学会の公式情報から確認できること
会則では「退会」によって会員の地位を失うとされている
創価学会が公開している会則では、会員について規定する章の中で、会員は「退会または除名」により会員としての地位を失うことが定められています。
つまり、少なくとも公開されている会則上、「退会」という制度自体が存在することは確認できます。
一方で、公開会則には、退会届の全国共通様式、御本尊の返却方法、返却期限などの細かな実務手続までは掲載されていません。
そのため、「インターネット上に掲載されていた退会方法が現在も必ず正しい」と考えるのではなく、送付する時点の公式情報を確認する必要があります。
御本尊は創価学会の信仰上重要な位置付けにある
創価学会公式サイトでは、御本尊について、日蓮大聖人が顕した「南無妙法蓮華経」の文字曼荼羅を本尊としていることが説明されています。
そのため、脱会後に信仰を続けないとしても、単なる不要品と同じ感覚で直ちに処分するのではなく、返却を希望する場合には受領方法を確認するなど、落ち着いて対応した方がよいでしょう。
また、自宅にある御本尊が自分一人に関係するものとは限りません。家族にも創価学会員がいる家庭では、本人だけの判断で移動・返却・処分すると、家族間のトラブルにつながる可能性があります。
御本尊の返却と脱会手続を分けた方がよい理由
創価学会から脱会するときに混乱しやすいのが、「御本尊を返却しないと退会できないのではないか」という点です。
しかし、実務上は次のように分けて考えると整理しやすくなります。
- 創価学会員として今後活動しないという意思を伝えること
- 会員情報について必要な処理を求めること
- 電話・訪問・勧誘等を希望しない旨を伝えること
- 御本尊その他の物品をどう取り扱うか確認すること
これらを一度に解決しようとすると、「御本尊の返却方法が分からないから脱会通知を出せない」という状態になってしまうことがあります。
脱会意思が固まっているのであれば、まず書面で意思を明確にし、その中で必要に応じて「御本尊等について返却が必要な場合には、返却方法を書面で案内してほしい」と伝える方法も考えられます。
創価学会を脱会するときの御本尊返却の進め方
1.まず手元にある物品を確認する
最初に、自宅にある宗教関係の物品を確認します。
御本尊だけでなく、会員証に類するもの、書籍、新聞、刊行物、記念品などが残っている場合もあります。
ただし、すべてを「返却物」と決めつける必要はありません。購入した書籍など本人の所有物と考えられるものまで一律に返送する必要があるとは限らないためです。
特に確認しておきたいのは、次の点です。
- 誰が受け取った物なのか
- いつ頃受け取ったものなのか
- 本人の入会時に渡されたものか
- 家族が現在も使用しているものではないか
- 返却について過去に説明を受けているか
2.家族の物と自分の物を区別する
宗教二世・三世の方の場合、自宅に御本尊があっても、自分が受け取ったものではなく、親や祖父母が管理している場合があります。
この場合、本人が創価学会を脱会したいからといって、家族が信仰上使用している御本尊まで本人の判断で返却するのは避けた方がよいでしょう。
自分自身の脱会意思と、家族の信仰は別の問題です。
「自分は脱会するが、同居する家族は会員を続ける」という状況も当然考えられます。そのような場合には、本人の退会手続だけを先に進め、家族所有・家族管理の宗教物品には手を付けないという整理が必要です。
3.脱会意思を書面にする
口頭で「もう活動しません」と伝えるだけでは、後から本人と相手方で認識が食い違うことがあります。
特に、今後の電話や訪問も希望しない場合には、脱会意思とともに、その希望を書面で明確にしておく方法があります。
例えば、通知書では次の事項を整理します。
- 自分の氏名
- 創価学会を退会する意思
- 通知日
- 必要に応じて所属地域等の情報
- 今後の連絡・訪問・勧誘を希望しない旨
- 御本尊等の返却が必要な場合の案内方法
所属組織が分からない場合に、分からない情報を推測して書く必要はありません。「所属不明」として、本人を特定できる範囲の情報を記載する方法も考えられます。
4.御本尊の返却方法を確認する
御本尊を返却したい場合、返却先が明確でなければ、いきなり荷物を発送するのではなく、受領可能な窓口や送付方法を確認する方が確実です。
創価学会公式サイトには、本部所在地や各地域の会館等の情報が掲載されています。ただし、施設の所在地が公開されていることと、その施設が御本尊の郵送返却を受け付けていることは別です。
したがって、「近い会館だから送っておけばよい」と判断せず、返却先として受領可能かを確認することが大切です。
対面での訪問を希望しない場合には、退会通知にその希望を書き、「返却が必要な物品については、郵送可能な返却先と方法を書面等で案内してください」と求める方法もあります。
5.返却する物品は退会通知とは別送する
退会通知を内容証明郵便で送る場合には、特に注意が必要です。
日本郵便の内容証明は、送った「文書」の内容を証明する制度です。通常の内容証明では、内容文書以外の物品を同封することはできません。
したがって、御本尊そのものを内容証明郵便の封筒に一緒に入れて送ることはできません。
例えば、次のように分けて考えます。
- 脱会通知書:内容証明郵便等で送付
- 御本尊等の返却物:返却方法を確認したうえで別便で送付
物品を郵送する場合には、相手方が指定した方法があればそれに従い、特段の指定がない場合には、配送状況を確認できる方法を検討するとよいでしょう。
6.発送記録を手元に残す
退会通知や返却物を郵送した場合には、控えや配送記録を残しておくことをおすすめします。
例えば、次のようなものです。
- 退会通知書のコピー
- 内容証明郵便の謄本
- 郵便物の受領証
- 追跡番号
- 配達状況を確認した記録
- 返却した物品の一覧
- 発送前の物品の写真
後になって「何を返したのか」「通知をいつ送ったのか」が分からなくならないよう、最低限の記録をまとめて保管しておくと安心です。
内容証明で脱会通知を送る意味
創価学会への脱会通知は、必ず内容証明郵便でなければならないと一律に決まっているわけではありません。
それでも、本人が明確に脱会意思を示したことを記録として残したい場合には、内容証明郵便が選択肢になります。
日本郵便によると、内容証明は「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに差し出したか」を証明する制度です。
ただし、内容証明郵便を利用したからといって、書面に書かれている事実関係そのものを日本郵便が証明するわけではありません。
また、内容証明だけでは「相手が受け取ったこと」まで証明する制度ではないため、到達についても記録を重視する場合には、配達証明を付ける方法があります。
内容証明の役割を正しく理解する
内容証明を送ったからといって、相手に特定の行為を強制できるわけではありません。脱会意思や連絡停止の希望など、「自分が何を伝えたか」を記録として残しやすくする手段の一つです。
御本尊の返却について通知書にどう書けばよい?
御本尊を返却したいものの返却方法が分からない場合には、脱会通知書の中でその点を明確にする方法があります。
例えば、趣旨としては次のような内容です。
本通知をもって、創価学会を退会する意思を明確にお伝えします。私の手元にある御本尊その他の物品について返却が必要である場合には、郵送による返却先および返却方法をご案内ください。なお、返却方法の確認のための自宅訪問は希望いたしません。
これはあくまで一例です。
「必ずこの文章を書かなければならない」というものではありませんし、実際には、御本尊を自分が受け取った経緯、家族の入会状況、今後の連絡をどの程度希望するかなどによって内容は変わります。
特に、強い対立がすでに生じている場合や、返却物をめぐって争いになっている場合には、単純な定型文で対応せず、個別事情に応じた検討が必要です。
「御本尊を返さないと脱会できない」と言われた場合は?
対面で退会を伝えた際などに、「御本尊を返してからでなければ退会できない」「まず担当者と話す必要がある」と説明を受ける可能性もあります。
その場合は、感情的に反論するよりも、まず「退会するという本人の意思」と「物品返却の手続」を分けて伝えることが大切です。
公開されている創価学会会則では、会員は退会によって会員としての地位を失うことが規定されています。一方で、公開会則上、御本尊の返却手続の完了を退会の条件とする具体的記載までは確認できません。
そこで、書面では、
- 退会意思は確定していること
- 御本尊について返却を拒否しているわけではないこと
- 返却が必要なら具体的な返却方法を案内してほしいこと
を分けて伝えると、意思が整理されます。
なお、個別の物品について所有権等をめぐる争いがある場合には、単なる脱会通知書の作成とは異なる問題になるため、必要に応じて弁護士等への相談も検討してください。
御本尊を勝手に捨ててもよい?
脱会を決めた後、「もう信仰しないので捨てても問題ないのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし、返却を希望しているのであれば、返却可能性を確認する前に処分する必要はありません。
また、前述のとおり、家族が受け取ったものや家族が現在も信仰上使用しているものを、本人だけの判断で処分することは避けるべきです。
少なくとも、
- 誰が受け取ったものか
- 家族の信仰に関係するものではないか
- 返却を希望するなら受領先を確認できないか
を整理してから対応する方が、後々のトラブルを避けやすくなります。
ネット上の「燃えるごみに出せばよい」「必ず本部に送る」といった断定的な情報だけで判断しないことが重要です。
家族も創価学会員の場合は特に注意する
創価学会から自分だけが脱会する場合と、家族全員が脱会する場合では、御本尊の扱いも変わってきます。
本人だけが脱会する場合
同居する親や配偶者が引き続き創価学会員として信仰している場合、家庭内の御本尊を本人の脱会と同時に返却する必要があるとは限りません。
御本尊が誰に対して交付されたのか、誰が管理しているのかを確認し、自分の脱会手続と家族の信仰を混同しないようにします。
家族全員が脱会する場合
家族全員が信仰を続けないことを決め、御本尊の返却も希望しているのであれば、代表者が返却方法を確認することは考えられます。
ただし、退会意思は本来それぞれの本人に関わる問題です。成人した家族について、本人の意思を確認せずに一人の家族がまとめて「全員退会」と扱うことは避けた方がよいでしょう。
親は会員だが成人した子だけ脱会したい場合
宗教二世・三世の相談では、「親が熱心な会員なので直接話したくない」「自分がいつ入会したのかも分からない」というケースがあります。
その場合でも、自分自身の意思として今後信仰・活動をしないことを明確にすることはできます。
親が所有・管理している御本尊の処分まで行う必要はありません。自分の退会通知と、自宅内の宗教物品の管理は切り離して考えましょう。
返却先は創価学会本部でよい?
創価学会公式サイトの基本情報には、本部所在地として東京都新宿区信濃町の所在地が公開されています。また、全国各地の中心会館についても公式サイトに案内があります。
しかし、「所在地が公開されている」ことと、「そこへ御本尊を無断で郵送すれば必ず返却処理をしてもらえる」ということは同じではありません。
御本尊を返却したい場合には、発送前に返却先・受領方法を確認する方が確実です。
また、古いブログや掲示板には、過去の役職者名、古い所在地、以前の手続が掲載されたままになっていることがあります。通知を送る場合には、送付時点の公式サイトで所在地等を確認してください。
訪問されたくない場合は書面に明記する
御本尊の返却方法を尋ねたことで、「担当者が自宅へ取りに行く」と案内されることを不安に感じる方もいるでしょう。
自宅訪問を希望しないのであれば、その意思も曖昧にせず伝えます。
例えば、
- 退会意思はすでに確定している
- 退会についての面談は希望しない
- 御本尊は郵送で返却したい
- 返却先のみ書面等で知らせてほしい
- 今後の勧誘目的の訪問・電話は希望しない
と整理して記載すると、何を希望していて、何を希望していないのかが分かりやすくなります。
ただし、通知書を書けば将来の接触が法律上必ずすべて禁止される、という意味ではありません。書面を利用する目的は、自分の意思を明確にし、その内容を記録として残しておくことにあります。
行政書士への相談を検討した方がよいケース
創価学会からの脱会自体は、本人が自分で意思を伝えることもできます。
一方、次のような場合には、書面作成について行政書士へ相談することも選択肢になります。
- 自分で退会届を書くことに強い不安がある
- 脱会意思と御本尊返却の希望を整理して書きたい
- 電話や自宅訪問を避けたい旨も明確にしたい
- 口頭ではなく内容証明郵便で記録を残したい
- 家族との関係があり、どこまで通知書に書くべきか迷っている
- 所属地域や担当者が分からず、通知方法を整理したい
行政書士は、本人の意思に基づく通知書や内容証明郵便の文案作成を支援できます。
一方、相手方との間ですでに金銭請求、損害賠償、物品の所有権などについて具体的な紛争が生じ、交渉が必要になっている場合には、行政書士が代理交渉を行うことはできません。そのような場合は弁護士への相談を検討してください。
よくある質問
Q.創価学会を脱会するには御本尊を返さないといけませんか?
公開されている創価学会会則では、退会により会員の地位を失うことは確認できますが、公開会則上、御本尊の具体的な返却方法や返却期限までは示されていません。返却を希望する場合は、現在の返却方法を確認するのが安全です。脱会意思と物品返却は分けて整理するとよいでしょう。
Q.御本尊を退会届と一緒に内容証明で送れますか?
通常の内容証明郵便では、内容文書以外の物品を同封することはできません。そのため、御本尊を内容証明郵便に同封して送ることはできません。退会通知と返却物は別に送る必要があります。
Q.返却方法が分からない場合はどうすればよいですか?
脱会通知書の中で、御本尊等の返却を希望していることを伝え、返却先と返却方法の案内を求める方法があります。対面での回収を希望しない場合は、郵送による方法を希望する旨も明記すると分かりやすくなります。
Q.創価学会本部にそのまま御本尊を送っても大丈夫ですか?
公式サイトに本部所在地は公開されていますが、それだけで御本尊の郵送返却先として現在受領可能であるとまでは判断できません。発送前に返却方法を確認する方が確実です。
Q.親が創価学会員ですが、自分だけ脱会できますか?
自分自身の信仰に関する意思と、親の信仰は別に考える必要があります。成人した本人が自分の意思として信仰を続けないことを表明することはできます。ただし、親が管理している御本尊等を本人の判断だけで返却・処分することは避けた方がよいでしょう。
Q.御本尊を返した証拠は残した方がよいですか?
郵送で返却する場合には、返却した物品の一覧、発送前の写真、追跡番号、配送記録などを残しておくと、後から返却状況を確認しやすくなります。
まとめ
創価学会を脱会するとき、御本尊の扱いについて迷う方は少なくありません。
創価学会の公開会則では、会員が退会によって会員としての地位を失うことは確認できますが、公開情報だけから、すべてのケースについて御本尊の返却方法を一律に断定することはできません。
そのため、実務上は、「創価学会を退会する意思」と「御本尊をどのように返却するか」を分けて整理することが重要です。
退会意思を先に書面で明確にし、御本尊の返却を希望する場合には、返却先や返却方法について案内を求める方法があります。また、内容証明郵便には御本尊などの物品を同封できないため、返却する場合には別便での対応が必要です。
家族も創価学会員である場合には、家族が管理している御本尊を勝手に返却せず、自分自身の脱会手続と家族の信仰を区別してください。
自分で通知書を作成することに不安がある場合や、訪問・勧誘を希望しないこと、御本尊の返却方法についても一つの書面で整理して伝えたい場合には、行政書士に通知文書の作成を相談する方法もあります。



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