統一教会の解散命令とその後の動き/新設団体はあるの?

統一教会の解散命令とその後の動き 宗教団体

世界平和統一家庭連合、いわゆる旧統一教会に対する解散命令が確定し、宗教法人としての清算手続が進められています。しかし、解散命令が確定したからといって、信仰活動や人的なつながり、関連団体を通じた活動まで直ちに消滅するわけではありません。本記事では、解散命令の意味、清算手続、元信者に対する連絡、新団体設立の動きに関する報道などを整理します。

令和8年7月時点の状況

世界平和統一家庭連合、いわゆる旧統一教会については、令和7年3月25日、東京地方裁判所が宗教法人法に基づく解散命令を出しました。

教団側はこの決定を不服として即時抗告しましたが、令和8年3月4日、東京高等裁判所は東京地方裁判所の判断を維持し、教団側の抗告を棄却しました。

さらに教団側は最高裁判所へ特別抗告しましたが、令和8年6月22日付けで特別抗告が棄却され、解散命令が確定しました。したがって、令和8年7月時点では、旧統一教会は宗教法人として解散し、裁判所が選任した清算人による清算手続が進められています。

現在の重要なポイント

解散命令はすでに確定しています。現在は、法人の財産、債務、契約関係などを整理する清算段階にあります。

ただし、「宗教法人が解散したこと」と、「旧統一教会に関係するすべての活動や人間関係がなくなったこと」は同じではありません。

解散命令によって失われるのは、原則として宗教法人としての法人格や税制上の取扱いなどです。信者個人の信仰そのものが禁止されるわけではなく、元役員、元幹部、現役信者らが任意団体などの形で活動する可能性も残ります。

解散命令に至った経緯

解散命令に至った経緯

旧統一教会を巡っては、長年にわたり、多額の献金、いわゆる霊感商法、勧誘方法、信者やその家族の生活への影響などが社会問題となってきました。

令和4年7月の安倍晋三元内閣総理大臣銃撃事件を契機として、教団と政治家との関係や、高額献金による被害が改めて注目されました。

文部科学省は、宗教法人法に基づく報告徴収・質問権を行使し、教団の組織運営、献金勧誘、被害の状況などについて調査を進めました。

その後、文部科学省は令和5年10月、旧統一教会について、法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると認められる行為があったとして、東京地方裁判所へ解散命令を請求しました。

裁判所では、民事上の不法行為が宗教法人法上の「法令に違反」する行為に含まれるか、教団の組織的な関与が認められるか、解散命令が必要かつ相当であるかなどが争われました。

東京高等裁判所は、教団名を明らかにしないまま相手の不安をあおる勧誘や、本人及び親族の生活維持に支障を生じさせるような過大な献金勧誘などについて、不法行為に該当する行為が継続していたと判断しました。

また、平成21年に教団がコンプライアンス宣言を行った後についても、被害防止のための実効的な措置が十分に講じられていなかったと判断され、解散命令は必要でやむを得ないとされました。

解散命令の法的な意味

宗教法人に対する解散命令は、その宗教そのものを禁止したり、個人の信仰を取り締まったりする制度ではありません。

日本国憲法は信教の自由を保障しています。そのため、裁判所が宗教法人に解散を命じた場合であっても、個々の信者が教義を信じること、集会を行うこと、宗教上の儀式を行うことまで直ちに禁止されるわけではありません。

法人格を失う

宗教法人として権利義務の主体となる資格を失い、清算のために必要な範囲でのみ存続します。

財産が清算対象になる

不動産、預貯金その他の法人財産について、清算人が調査及び管理を行います。

税制上の扱いが変わる

宗教法人であることを前提とした税制上の優遇を受けられなくなります。

信仰は禁止されない

信者個人が信仰を続けることや任意の集まりを開くことは、原則として禁止されません。

この点を理解しないまま、「解散命令が確定したので、旧統一教会に関係する活動はすべて終了した」と考えることには注意が必要です。

実際には、宗教法人としての組織は清算されても、信者間の連絡網、教義を共有する集まり、関連団体、海外組織との関係などが残る可能性があります。

現在進められている清算手続

東京地方裁判所は、令和8年3月4日、旧統一教会の清算人を選任しました。清算人は裁判所の監督を受けながら、法人の財産や債務を調査し、必要な財産管理や換価、債務の弁済などを行います。

清算手続では、一般に次のような作業が行われます。

  1. 法人が所有する不動産、預貯金、有価証券その他の財産を調査する
  2. 未払金、借入金、損害賠償債務その他の債務を調査する
  3. 継続中の契約関係や事業を整理する
  4. 必要に応じて財産を売却し、金銭へ換える
  5. 法律上の優先順位に従って債権者へ弁済する
  6. 残余財産がある場合には、法令や規則に従って処理する

旧統一教会の清算については、長年にわたる組織活動、多数の施設や関係者、国内外の団体との関係などがあるため、相当の期間を要する可能性があります。

また、法人名義の財産だけでなく、関連団体や関係者との間の取引、資金移動、契約関係などがどのように整理されるかも注目されます。

清算人を名乗る連絡に注意

今後、清算手続に便乗して、個人情報や金銭を求める不審な連絡が生じる可能性もあります。連絡元が本当に清算人又は正規の窓口であるかを確認し、安易に個人情報を伝えないよう注意してください。

解散後も宗教活動は続けられるのか

解散命令によって宗教法人格を失っても、元信者や現役信者が任意団体として集まり、宗教活動を続けること自体は直ちに違法になるものではありません。

例えば、個人宅や賃借した施設で集会を行うこと、教義を学ぶこと、信者同士で連絡を取り合うこと、礼拝や祈りを行うことなどは、原則として信教の自由や集会の自由の範囲に含まれます。

一方で、宗教活動の自由があるからといって、どのような勧誘や献金要求も許されるわけではありません。

相手を困惑させる勧誘、退去を求められた後も居座る行為、断っている相手への執拗な連絡、不安をあおって多額の献金を求める行為、虚偽の説明を用いた契約などは、個別の事情によって民法、消費者契約法、特定商取引法、不退去罪、ストーカー規制法その他の法令上の問題となる可能性があります。

重要なのは、団体の名称ではなく、実際にどのような勧誘、連絡、献金要求、個人情報の利用が行われているかです。

新しい団体を設立する動き

新しい団体を設立する動き

解散命令後の動きとして、旧統一教会の元幹部らが、新たな団体の設立を検討しているとの報道があります。報道では、信者からの寄附や会費を受け入れる新たな枠組みが検討されている旨が伝えられました。

また、当事務所にも、元信者の方から、旧統一教会とは異なる名称の団体を立ち上げる動きがあることや、元幹部などから「登録を継続するか」といった趣旨の連絡を受けたとの情報が寄せられています。

情報の取扱いについて

新団体の名称、組織構成、旧統一教会との法的な関係、設立状況などについては、公開資料だけでは確認できない部分があります。元信者から寄せられた情報についても、個別の証言として慎重に取り扱う必要があります。

仮に旧統一教会の元幹部や信者らが新たな任意団体、一般社団法人、宗教団体その他の組織を設立したとしても、それだけで直ちに違法となるわけではありません。

しかし、旧統一教会の人的組織、名簿、資金、施設、連絡網などを事実上引き継ぎ、清算対象となる財産を移転させるような行為があれば、清算手続との関係で問題となる可能性があります。

また、新たな名称を使用しながら、旧統一教会との関係を十分に説明せずに勧誘したり、元信者の個人情報を利用して連絡したりする場合には、説明の適切性や個人情報の取扱いが問題となります。

団体名が変われば、過去の経緯を知らない人にとっては、旧統一教会との関係を認識しにくくなります。そのため、勧誘を受けた場合には、名称だけで判断せず、代表者、役員、所在地、活動内容、会費、寄附先、関連団体などを確認することが重要です。

元信者への「登録継続」等の連絡

元信者から寄せられている情報の中には、旧統一教会の元幹部や関係者から、「今後も登録を継続するか」「新しい団体へ移るか」「連絡先を引き続き使用してよいか」などの趣旨の連絡を受けたというものがあります。

このような連絡を受けた場合、すぐに回答する必要はありません。

特に、すでに脱会した人、今後一切の関係を持ちたくない人、過去に勧誘や献金によって精神的又は経済的な負担を受けた人は、曖昧な返事をせず、必要に応じて明確に拒否することが大切です。

誰からの連絡か

氏名、役職、所属団体、連絡先を確認します。

何を継続するのか

信者登録、会員登録、個人情報、寄附、会費などの内容を確認します。

新団体との関係

旧統一教会との人的・資金的・組織的な関係について説明を求めます。

回答期限の有無

急いで回答するよう求められても、その場で同意しないようにします。

電話で説明を受けても、後から内容を確認できないことがあります。重要な内容については、書面やメールで説明するよう求めることが望ましいでしょう。

また、「登録を継続しなければ不利益がある」「家族に悪いことが起きる」「先祖や子孫に影響する」などと不安をあおられた場合には、その発言内容を記録してください。

連絡を受けた場合の対応

旧統一教会の元幹部、元信者、関連団体、新団体を名乗る人物などから連絡を受けた場合には、自分が今後どのような関係を希望するのかを明確にする必要があります。

今後も関係を持ちたくない場合

今後一切の関係を持ちたくない場合には、次の事項を明確に伝えることが考えられます。

  • 旧統一教会及び新たな関連団体への登録を希望しないこと
  • 信者、会員、賛同者その他の名簿から削除してほしいこと
  • 電話、訪問、郵便、メール、LINE、SNSによる連絡を希望しないこと
  • 家族、親族、友人、勤務先などを通じた接触を希望しないこと
  • 保有している個人情報の利用停止及び削除を求めること
  • 献金、会費、寄附その他の金銭負担に応じないこと

口頭で伝えても連絡が続く場合には、書面による脱会通知や連絡禁止通知を送付する方法があります。

相手が通知を受け取った事実や通知内容を証拠として残したい場合には、内容証明郵便及び配達証明を利用することが考えられます。

判断を保留したい場合

新団体の内容が分からず判断できない場合には、その場で同意せず、次の資料を求めてください。

  • 団体の正式名称及び所在地
  • 代表者及び役員の氏名
  • 法人登記の有無及び法人の種類
  • 活動目的及び具体的な活動内容
  • 旧統一教会との関係に関する説明
  • 会費、献金、寄附その他の金銭負担
  • 退会及び登録削除の方法
  • 個人情報の利用目的及び第三者提供の有無

説明が曖昧である場合や、書面を渡さず口頭だけで加入を求める場合には、慎重に判断してください。

家族が信者である場合の注意点

本人が脱会していても、家族が信者である場合には、家族を通じて連絡や勧誘が行われることがあります。

家族に対し、本人の住所、電話番号、勤務先、結婚、出産、転居その他の情報を教えるよう求めるケースも考えられます。

そのため、関係を断ちたい場合には、本人だけでなく家族にも、自分の個人情報を教団関係者や新団体へ伝えないよう説明しておくことが重要です。

もっとも、信仰を続ける家族を強く否定したり、無理に脱会させようとしたりすると、家族関係が悪化し、かえって教団関係者への依存を強めることがあります。

家族と話す場合には、信仰そのものを攻撃するのではなく、金銭負担、生活への影響、勧誘方法、個人情報の取扱いなど、具体的な問題を一つずつ確認することが望ましいでしょう。

家族間で確認したいこと

多額の献金や借入れがないか、不動産を処分していないか、遺言や生命保険の受取人を変更していないか、新たな保証契約をしていないかなどを確認します。

記録として残しておきたいもの

元幹部や新団体から連絡を受けた場合には、後から相談できるように記録を残してください。

メッセージ

LINE、メール、SMS、SNSの画面を削除せず保存します。

通話記録

日時、相手の氏名、所属、話した内容を記録します。

郵便物

封筒を含めて保管し、消印や差出人が分かる状態にします。

振込情報

振込先、名義、金額、目的が分かる資料を保存します。

団体資料

規約、申込書、パンフレット、会費説明などを保管します。

訪問記録

訪問日時、人数、車両、発言内容を記録します。

電話を受けた際には、「登録を継続する」といった言葉だけでなく、どの団体への登録なのか、個人情報がどこから取得されたのか、誰が管理するのかについても確認してください。

相手が旧統一教会とは別団体であると説明した場合には、旧統一教会の元役員や元幹部が関係しているか、施設や連絡先を引き継いでいるか、献金の振込先がどこになっているかも重要な確認事項となります。

相談先と専門家による支援

連絡や勧誘の内容、金銭被害の有無、本人の希望によって、相談先は異なります。

消費生活センター

契約、献金、勧誘、返金などの消費者問題を相談できます。

法テラス

旧統一教会問題に関する法律相談や支援制度を確認できます。

弁護士

献金の返還請求、損害賠償、訴訟、交渉などを相談できます。

警察

脅迫、執拗な訪問、退去要求後の居座りなどを相談します。

行政書士

脱会通知、連絡禁止通知、個人情報削除要請などの書面を作成します。

清算人窓口

旧統一教会の清算手続や法人財産に関する情報を確認します。

単に脱会の意思を伝えるだけであれば、本人から電話や書面で通知することも可能です。

しかし、相手との関係を明確に終了させたい場合、後日の紛争に備えて証拠を残したい場合、家族を含めた接触を禁止したい場合には、通知内容を整理したうえで書面を送ることが有効です。

書面には、脱会の意思だけでなく、登録の削除、個人情報の利用停止、訪問・電話・郵送・LINE・SNSによる連絡の停止、第三者を通じた接触の禁止などを記載することが考えられます。

危険を感じる場合

相手が自宅から退去しない、脅迫的な発言をする、繰り返し待ち伏せするなど、身の危険を感じる場合には、書面対応よりも先に警察へ相談してください。

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まとめ

旧統一教会に対する解散命令は、令和8年6月22日付けの最高裁判所の決定によって確定しました。令和8年7月時点では、宗教法人としての清算手続が進められています。

しかし、解散命令は信者個人の信仰や集会を禁止するものではありません。元幹部や信者らが、別名称の団体や任意団体を通じて活動を継続する可能性があります。

実際に、元幹部らが新団体の設立を検討しているとの報道があり、元信者からも、「登録を継続するか」といった連絡を受けたとの情報が寄せられています。

もっとも、新団体の具体的な設立状況や旧統一教会との法的関係については、公開情報だけでは確認できない部分があります。未確認の情報を断定するのではなく、団体名、代表者、所在地、活動内容、資金の流れなどを慎重に確認する必要があります。

今後一切の関係を望まない場合には、曖昧な返答を避け、登録を希望しないこと、個人情報の削除を求めること、今後の連絡や訪問を拒否することを明確に伝えてください。

口頭で伝えても連絡が続く場合には、内容証明郵便などによる脱会通知、登録削除要請、連絡禁止通知を検討することになります。

解散命令が確定した後こそ、組織の名称変更、連絡網の引継ぎ、新団体への登録など、その後の動きを注意深く確認することが重要です。

本記事は令和8年7月時点の公開情報及び当事務所に寄せられた相談情報を基に作成しています。新団体に関する個別の情報については、公開資料による確認ができていない内容を含むため、確定した事実として断定するものではありません。

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