お問い合わせはこちらです

給料未払いを内容証明で請求する方法|書き方・テンプレート・送付後の流れ

給料未払いを内容証明で請求する方法|書き方・テンプレート・送付後の流れ

給料の支払日を過ぎても入金がないときは、会社へ未払額と支払期限を明確に伝え、その記録を残す方法として内容証明を利用できます。ただし、テンプレートをそのまま送る前に、勤務期間、給与額、支払日、実際の入金額を確認することが重要です。ここでは請求前の準備から具体的な文例、送付後に支払いがない場合の対応まで順番に解説します。

  • まず雇用先の正式名称、未払いの対象期間、金額を確定します。
  • 給与明細、労働条件通知書、勤怠記録、振込履歴などを保存します。
  • 退職者から請求があった場合には、労働基準法23条の7日以内の支払いが問題になります。
  • 通常の賃金請求権は、現在の経過措置により原則3年間とされています。
  • 内容証明を無視された場合は、労働基準監督署への相談・申告や裁判所手続を検討します。

給料未払いに内容証明を使う意味

給料は、原則として通貨で、直接労働者に、その全額を支払う必要があります。また、臨時に支払われる賃金等を除き、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことが労働基準法に定められています。

会社へ電話やLINEで催促しても、「来週払う」「確認しておく」と言われたまま時間が経過することがあります。そのような場合に、未払賃金の対象期間、金額、請求日、支払期限を一つの文書にまとめ、内容証明で送付する方法があります。

内容証明を利用すると、いつ、どのような内容の文書を誰から誰へ差し出したかを日本郵便が証明します。一方で、記載内容が真実であることや、会社に支払いを強制することまで証明するものではありません。

「内容証明を送れば給料を差し押さえられる」という制度ではありません。支払いがなければ、労働基準監督署への相談・申告や裁判所手続など、次の対応を検討する必要があります。

退職後に請求する場合は7日以内の支払いが問題になる

既に退職している場合には特別な規定があります。労働基準法23条では、労働者の退職時に権利者から請求があった場合、使用者は原則として7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還することとされています。争いがある場合でも、異議のない部分は期間内に支払う必要があります。

注意したいのは、「給料未払いの内容証明は必ず到達後7日以内と書かなければならない」という意味ではないことです。23条の7日というルールは死亡・退職の場合に権利者から請求があったケースの規定です。在職中の通常の給与については、会社が定めた賃金支払日などを確認します。

送る前に証拠と未払額を整理する

テンプレートへ名前と金額だけを入れて送るより、まず証拠を集めて請求額を計算することが重要です。会社から「その期間は働いていない」「既に支払った」と反論された場合に備えて、客観的な資料を残しましょう。

確認したい主な資料

  • 雇用契約書・労働条件通知書
  • 給与明細
  • タイムカード・勤怠システムの記録
  • シフト表
  • 業務指示のメール・LINE・チャット
  • 給与振込口座の通帳や入出金明細
  • 就業規則や賃金規程
  • 退職した場合は退職日が分かる資料

会社のシステムへログインできる間しか取得できない勤怠記録や給与明細がある場合は、退職前後のできるだけ早い段階で自分の記録を確保しておくことが大切です。ただし、会社の営業秘密や他人の個人情報を無断で持ち出すこととは分けて考えてください。

「給料○万円」ではなく内訳を作る

請求書面には、対象となる年月と金額を分けて記載した方が分かりやすくなります。例えば「令和○年7月分基本給○円」「8月分基本給○円」「既払額○円」「未払合計○円」という形です。

残業代も同時に請求する場合は、単に総額だけを書くのではなく、労働時間や割増率をどのように計算したのかを確認する必要があります。基本給の未払いと残業代の計算に争いがある場合には、項目を分けて整理するとよいでしょう。

確認項目確認資料の例
勤務先雇用契約書、労働条件通知書、給与明細
給与額労働条件通知書、給与明細、賃金規程
勤務日・時間タイムカード、勤怠履歴、シフト、業務メール
本来の支払日契約書、給与明細、就業規則
実際の入金通帳、銀行の入出金履歴
退職日退職届、退職通知、会社との連絡記録

賃金請求権には時効がある

未払い給料を長期間放置することは避けましょう。労働基準法115条の本文では賃金請求権について5年間と規定されていますが、現在は同法143条3項の経過措置により、退職手当を除く賃金請求権は当分の間3年間とされています。

各月の給料は支払日が異なるため、複数月分が未払いの場合には「すべて同じ日に時効になる」とは限りません。古い未払いが含まれている場合は特に早めに確認してください。

給料未払いの内容証明テンプレート

給料未払いの内容証明テンプレート

以下は、基本的な未払い給料を請求する場合の参考文例です。実際には勤務状況、退職の有無、未払額、残業代の有無、会社からの反論などに合わせて調整してください。

通知書

私は、貴社との労働契約に基づき、令和○年○月○日から令和○年○月○日まで勤務しました。

しかし、下記の賃金について、所定の支払期日を経過した現在も支払いを受けておりません。

未払賃金 金○○○○円
対象期間 令和○年○月分から令和○年○月分まで
本来の支払期日 令和○年○月○日ほか

つきましては、本書面により上記未払賃金を請求いたしますので、令和○年○月○日までに下記口座へお支払いください。

振込先 ○○銀行○○支店 普通○○○○○○○ 口座名義○○○○

上記期限までに支払いまたは具体的なご連絡がない場合には、労働基準監督署への相談・申告、支払督促その他の法的手続を検討いたします。

令和○年○月○日
通知人住所
通知人氏名
被通知人住所
会社名・代表者名

テンプレートを使う際の注意点

第一に、存在しない事実を書かないことです。「何度も支払うと約束した」と記載するなら、そのようなやり取りが本当にあったか確認します。第二に、請求額を曖昧にしないことです。「給料を全部払ってください」だけではなく、対象期間と未払額をできるだけ特定します。

第三に、相手を必要以上に威圧する文言は避けます。「払わなければ必ず逮捕される」「会社を潰す」など、根拠のない脅し文句を入れる必要はありません。今後取り得る正当な手続を簡潔に記載する方が実務的です。

第四に、残業代、解雇予告手当、退職金などを同時に請求するときは、それぞれ発生要件や計算方法が異なるため、単純に基本給のテンプレートへ金額を足すだけで済ませないようにしましょう。

支払期限と送付方法の注意点

支払期限は具体的な日付にすると分かりやすい

「至急支払ってください」だけでは、いつまでの支払いを求めているのか不明確です。「令和○年○月○日まで」のように具体的な日付を示すと、その後の対応へ移る時点を判断しやすくなります。

退職後の請求では労働基準法23条の規定を確認しますが、在職中の給与請求に「到達後7日以内」という日数が法律上一律に決められているわけではありません。既に到来している給与支払日や、現在の状況に合わせて期限を設定します。

送付先は勤務先の正式な法人名・所在地を確認する

店舗で働いていても、雇用主は店舗名とは別の法人である場合があります。給与明細や労働条件通知書などから、誰が使用者なのかを確認してください。

内容証明は一般書留で送付します。実際に相手へ配達された事実まで証明として残したい場合は、配達証明を併用する方法があります。発送後は、差し出した文書の控え、郵便の受領証、追跡情報、配達証明書などを保管しておきましょう。

内容証明を無視された場合の対応

ラッコキーワードの関連質問でも、「給料未払いで内容証明を無視されたらどうなるのか」という疑問は特に強く表れます。内容証明を送っても反応がない場合、同じ請求書を繰り返し送るだけではなく、次の手続へ進むかを判断します。

労働基準監督署へ相談する

賃金不払いが労働基準法違反に当たると考えられる場合、管轄の労働基準監督署へ相談することができます。相談する際は、労働条件通知書、給与明細、勤怠記録、銀行の入出金履歴、会社へ送った内容証明などを整理しておくと事情を説明しやすくなります。

ここで注意したいのは、未払い給料の内容証明そのものを「労働基準監督署宛て」に送るわけではないという点です。給料の請求書面は原則として使用者へ送付し、労働基準監督署への相談・申告は別の手続として考えます。

支払督促を検討する

未払額が明確で金銭の支払いを求める場合、簡易裁判所の支払督促を検討できることがあります。支払督促は書類審査を中心に進み、相手が受領後2週間以内に異議を申し立てると訴訟へ移行します。

会社が「給料は全額支払い済み」「そもそも労働者ではない」などと争っている場合には、最初から証拠を用いた紛争対応を想定する必要があります。金額や争点によっては、労働審判や訴訟、弁護士への相談を検討します。

会社の反応確認・検討すること
支払うとの回答がある支払日・金額・方法を具体的に確認
一部だけ支払う残額と会社が争う理由を確認
回答がない労基署への相談・申告、裁判所手続等を検討
勤務時間を争われた勤怠・シフト・業務指示等を再整理
雇用関係自体を争われた契約実態を整理し専門家相談を検討

よくある質問

在職中でも給料未払いの内容証明を送れますか?

送ること自体は可能です。まず会社の給与担当者等へ確認し、単純な振込ミスではないかを確認したうえで、支払いが行われない場合には書面による請求を検討します。在職中は今後の勤務への影響も考え、事実に沿った冷静な文面にすることが重要です。

支払期限は必ず7日以内にしなければなりませんか?

いいえ。労働基準法23条の7日以内という規定は、労働者が退職した場合等に権利者から請求があったときの規定です。すべての未払い給料の内容証明について一律に適用される期限ではありません。

テンプレートをそのままコピーして送っても大丈夫ですか?

参考文例として利用できますが、未払期間、金額、勤務先、支払日などを実際の資料と照合して修正してください。残業代、退職金、解雇予告手当など別の請求が含まれる場合は、発生要件や計算方法も個別に確認する必要があります。

内容証明は労働基準監督署へ送るのですか?

通常、未払い給料を請求する内容証明の送付先は使用者です。労働基準監督署への相談や申告は、それとは別に行うものです。

内容証明を会社が無視したら請求できなくなりますか?

無視されたことだけで請求権がなくなるわけではありません。ただし賃金請求権には時効があるため、放置せず、労働基準監督署への相談や支払督促、労働審判、訴訟など次の方法を検討してください。

まとめ

給料未払いで内容証明を送る場合は、テンプレートへ金額を書くだけではなく、まず雇用主、対象期間、給与額、本来の支払日、実際の入金状況を資料から確認することが重要です。給与明細、労働条件通知書、勤怠記録、銀行の入出金履歴などはできるだけ早く保存しましょう。

既に退職している場合は、請求を受けた使用者が原則7日以内に賃金等を支払うことを定める労働基準法23条も確認します。また、通常の賃金請求権は、現在の経過措置では原則3年間とされているため、未払いを長期間放置しないことも重要です。

内容証明は請求内容と送付の事実を残すために役立ちますが、それ自体に強制執行力はありません。会社が支払わない場合や請求そのものを争う場合には、労働基準監督署への相談・申告、支払督促、労働審判、訴訟など、状況に応じた次の手続へ進むことを検討しましょう。

参考資料

制度や手続の確認に役立つ公式情報です。

内容証明代行室