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いじめ加害者の親による逆ギレ/実際にあったケースとは

いじめ加害者の親による逆ギレ/実際にあったケースとは

子どもがいじめ被害に遭い、学校を通じて加害児童・生徒の保護者へ事実を伝えたところ、「うちの子は悪くない」「あなたの子にも原因がある」「こちらこそ迷惑している」などと強く反発されるケースがあります。いわゆる「いじめ加害者の親による逆ギレ」です。しかし、相手が感情的になったからといって、こちらも直接言い返したり、保護者同士だけで解決しようとしたりするのはおすすめできません。学校を介して事実確認と安全確保を進め、やり取りを記録として残すことが重要です。

  • 「逆ギレ」は法律上の用語ではなく、一般的な表現である
  • 事実関係への正当な異議申立てまで「逆ギレ」と決めつけない
  • 被害児童を責める、威圧する、責任を転嫁する対応には注意する
  • 保護者同士だけで直接対決せず、学校を介して対応する
  • 話し合いの内容、メール、学校への相談履歴などを記録する
  • 改善しない場合は、学校・教育委員会・相手方保護者への書面通知も検討する

いじめ加害者の親による「逆ギレ」とは?

「逆ギレ」という言葉に法律上の定義はありません。本記事では、いじめ被害について学校や被害側の保護者から指摘を受けた加害側の保護者が、事実確認をするのではなく、被害児童やその保護者を強く非難したり、責任を一方的に転嫁したりするような対応を、便宜上「逆ギレ」と表現しています。

例えば、次のような反応が見られることがあります。

  • 「うちの子がそんなことをするはずがない」と最初から一切の確認を拒否する
  • 「いじめられる方にも原因がある」と被害児童を責める
  • 「うちの子こそ被害者だ」と突然主張し始める
  • 被害側の保護者へ怒鳴る、威圧する
  • 学校に対して「いじめと言うな」「記録を消せ」などと要求する
  • 周囲の保護者に一方的な内容を伝え、被害家庭を非難する

ただし、子どもが「いじめをした」と言われた保護者にも、事実関係を確認し、学校の判断について説明を求める権利があります。そのため、単に「うちの子の話も聞いてほしい」と求めたり、事実認定について冷静に質問したりする行為まで「逆ギレ」と扱うのは適切ではありません。

重要なポイント

問題なのは「反論したこと」そのものではありません。被害児童を非難する、威圧する、事実確認を拒否する、報復的な行動をするなど、いじめの解決や子どもの安全確保を妨げる対応になっているかどうかを冷静に見極めましょう。

逆ギレと正当な異議申立ては分けて考える

被害側としては、相手の親が少しでも反論すると「反省していない」「逆ギレされた」と感じることがあります。しかし、いじめ問題では双方の認識が異なることもあり、学校には客観的な事実確認が求められます。

対応考え方被害側の対応
「子どもの話も確認してほしい」正当な事実確認の要請になり得る学校による客観的な調査を求める
「その日時には別の場所にいた」具体的な反証の可能性がある証拠を含めて学校に確認してもらう
「いじめられた側も悪い」被害児童への責任転嫁になり得る直接議論せず学校を介して対応する
被害児童・保護者を怒鳴る新たなトラブルにつながる可能性がある日時・内容を記録し、学校へ報告する
周囲へ被害家庭の悪評を広める二次的な被害につながるおそれがある発言・投稿等の証拠を保存する

被害側の目的は、「どちらの親が言い勝つか」ではありません。子どもへのいじめを止め、安全な学校生活を取り戻し、再発を防止することです。そのため、保護者同士で感情的な応酬を続けるよりも、学校に事実確認と対応を求める方が適切です。

実際にあったケース|「謝罪会」が被害者を責める場に

いじめの加害側保護者・親族による強い反発が、さらに被害児童を傷つけたとされた実例があります。

埼玉県川口市の中学校に在籍していた生徒のいじめ事案では、学校が加害側と被害側を集めて「謝罪会」を設定しました。本来であれば、いじめについて謝罪し、今後の対応を話し合う場となることが想定されます。

しかし、報道によると、その場で加害者側の父親や祖母から、被害生徒の自殺未遂について本人の責任であるかのような発言が行われ、被害生徒を責める場になってしまいました。

その後にまとめられた第三者の調査委員会の報告書では、学校側の不十分な対応によって被害生徒がさらに中傷や孤立にさらされたことなどが問題とされ、「二次被害」が認定されたと報じられています。

この事例から分かること

「直接会って謝罪してもらえば解決する」とは限りません。被害児童と加害側保護者を安易に同席させると、かえって被害児童が責められたり、心理的な負担が増したりする可能性があります。面談を行う場合は、学校が進行方法や発言内容に十分配慮し、被害児童の安全と心理状態を優先することが重要です。

この事案は極めて深刻なケースであり、すべてのいじめ問題で同じことが起こるわけではありません。しかし、「加害側の保護者と直接会えば話が早い」と単純に考えるのは危険であることを示す一例といえます。

なぜ加害者の親が強く反発することがあるのか

自分の子どもが「いじめの加害者」と指摘されれば、保護者が大きなショックを受けること自体は珍しくありません。「うちの子に限って」という気持ちから、最初は事実を受け入れられない場合もあります。

また、学校から突然「いじめがありました」とだけ伝えられ、具体的な日時や行為について十分な説明がない場合には、加害側の保護者が学校の判断に不信感を抱くことも考えられます。

そのため、強い反応があったからといって、ただちに「悪質な親だ」と断定するのではなく、学校が双方から丁寧に事実を確認する必要があります。

一方で、事実が相当程度確認されているにもかかわらず、被害児童を責めたり、「いじめられる原因がある」と主張したりすることは、問題の解決を遠ざけます。いじめ防止対策推進法でも、保護者には自分の子どもがいじめを行わないよう必要な指導をする努力義務が定められています。

また、同条3項では、保護者は学校などが講ずるいじめ防止等の措置へ協力するよう努めるものとされています。

学校には保護者間の争いを防ぐ対応も求められる

「相手の親が怒っているので、保護者同士で話してください」と学校から言われることがあります。しかし、いじめ防止対策推進法では、学校が被害児童の保護者と、いじめを行った児童の保護者との間で争いが起こらないよう必要な措置を講ずることが定められています。

したがって、加害側保護者が被害側へ強く反発している場合には、学校へ「保護者同士だけで直接話し合うことは避けたい」「学校を通じて連絡してほしい」と申し入れる方法が考えられます。

文部科学省も、いじめ対応では被害児童生徒を守り通すとともに、加害児童生徒への指導、保護者との協力、関係機関との連携を含めて組織的に対応することを求めています。

逆ギレされたときに被害者側が取るべき対応

相手の保護者から強く責められると、「こちらも言い返さなければ」と思うかもしれません。しかし、感情的な応酬は、後から「どちらも問題があった」と扱われる原因になることがあります。

次の順番で対応することをおすすめします。

  1. 直接の言い争いを終了する 相手が感情的な状態であれば、その場で事実関係を決着させようとしないようにします。
  2. 発言内容を記録する 日時、場所、同席者、相手から言われた内容などを可能な限り正確に残します。
  3. 学校へ報告する 「保護者間で争いになっていること」「今後は学校を介してほしいこと」を具体的に伝えます。
  4. いじめ本体の記録と分けて整理する 児童生徒によるいじめと、その後の保護者対応を別々に時系列化します。
  5. 今後の連絡方法を決める 電話ではなくメールや書面を中心にし、記録が残るようにします。
  6. 子どもの安全を最優先にする 相手の親との対立によって学校内で仕返し等が起きないよう、学校へ見守りを求めます。

特に重要なのが、「いじめ行為」と「保護者によるその後の言動」を混同しないことです。例えば、相手の親から暴言を受けた場合は、その発言自体を別途記録してください。

学校へ伝える内容

伝える項目具体的な内容
いじめの事実日時、場所、行為内容、頻度、証拠
加害側保護者の対応いつ、誰から、どのような発言・連絡があったか
現在の影響欠席、体調不良、不安、相手を怖がっている等
学校への要望安全確保、事実確認、接触への配慮、保護者間の連絡調整等
回答希望誰が担当し、いつまでにどのような対応をするのか

やってはいけない対応

加害側の親から逆に責められれば、冷静でいることが難しい場面もあります。しかし、次のような対応は避けた方がよいでしょう。

避けたい対応

  • 相手の自宅へ突然押しかける
  • 電話やLINEで長時間言い争う
  • 相手の親や子どもをSNSで名指しして批判する
  • 保護者グループへ一斉に情報を拡散する
  • 学校の確認前に「犯罪者」「加害者一家」などと断定する
  • 相手の児童生徒へ直接怒鳴る、問い詰める
  • 謝罪を強制するために自宅・通学路等で待ち伏せする

事実関係が明確であっても、相手を社会的に制裁することと、いじめを止めることは別問題です。被害児童の安全を最優先にして、必要以上に紛争を拡大させないことが重要です。

相手の親へ書面や内容証明を送る場合

相手の保護者が電話や面談では感情的になり、話し合いが成立しない場合には、連絡方法を口頭から書面へ切り替える方法があります。

書面では、感情的な表現を避け、「何があったのか」「何を求めているのか」を分けて記載します。相手を非難する文章ではなく、再発防止を目的とした通知にすることが重要です。

例えば、次の事項を整理します。

  • いじめが確認された、または疑われている具体的な日時・行為
  • 学校へ相談した経緯
  • 被害児童への影響
  • 相手方保護者から受けた連絡・発言の内容
  • 今後やめてほしい具体的な行為
  • 子どもへの接触・嫌がらせを行わないこと
  • 家庭内で再発防止に向けた指導を行ってほしい旨
  • 必要に応じて回答を求める事項

より正式に記録を残したい場合には、内容証明郵便を利用する方法もあります。内容証明郵便は、誰から誰宛てに、どのような内容の文書を差し出したのかを証明する制度です。

ただし、内容証明郵便を送れば相手が必ず謝罪する、いじめが必ず止まるというものではありません。また、「慰謝料を払わなければ警察に行く」など、文面によっては別の問題を生じさせることがあります。事実と要望を冷静に整理することが重要です。

行政書士による文書作成

行政書士は、依頼者から事情を確認したうえで、学校、教育委員会、相手方保護者等に対する通知書・申入書・内容証明郵便の文案作成を支援できます。一方、相手方との代理交渉や、損害賠償請求をめぐる交渉・訴訟対応などが必要な場合は、弁護士への相談が適切です。

大倉行政書士事務所では、子どものいじめ問題について、学校や相手方保護者に対する通知書・内容証明郵便の作成を全国対応でサポートしています。相手方保護者が感情的になっており、ご自身で文章を書くと対立が激しくなりそうな場合にも、事実関係を整理した文書を作成する方法があります。

警察・弁護士等への相談を検討するケース

加害側の親が単に強い口調で反論したというだけで、直ちに警察が介入するとは限りません。しかし、保護者による対応が新たな行為へ発展している場合には、別途対応を検討する必要があります。

例えば、次のような場合です。

  • 自宅へ何度も押しかけてくる
  • 電話やメッセージが繰り返し送られてくる
  • 危害を加える趣旨の発言がある
  • 学校外で子どもを待ち伏せする
  • SNS等で氏名や個人情報を公開して中傷する
  • 暴力や器物損壊などが発生している

また、児童生徒によるいじめ自体が、暴行、傷害、恐喝、強要、器物損壊など犯罪行為として取り扱うべき内容である場合には、学校にも警察との連携が求められます。

文部科学省も、犯罪行為として取り扱われるべきいじめについて警察との適切な連携を徹底するよう学校側へ求めています。

よくある質問

加害者の親から「あなたの子にも原因がある」と言われました。どうすればいいですか?

その場で原因論について言い争うより、具体的ないじめ行為について学校に事実確認を求めましょう。仮に子ども同士の間に別のトラブルが存在していたとしても、それによっていじめ行為が当然に正当化されるわけではありません。相手の発言内容も記録しておくとよいでしょう。

加害者の親と直接話し合う必要はありますか?

必ずしも直接話す必要はありません。相手が感情的になっている場合は、学校を介した連絡を求める方が安全です。学校には、被害側と加害側の保護者間で争いが起こらないよう必要な措置を講ずることが求められています。

学校から「親同士で解決してください」と言われました。

いじめへの対応を保護者同士だけに委ねることが適切とは限りません。学校に対して、事実確認、被害児童の安全確保、加害児童への指導、保護者間の連絡調整について学校として対応してほしい旨を伝えましょう。

逆ギレされた内容を録音してもよいですか?

後から発言内容について争いになる可能性がある場合、客観的な記録は重要です。ただし、録音データの公開やSNSへの投稿は別問題です。記録として保管し、必要に応じて専門家へ提示する方法を検討してください。

相手の親に内容証明を送れば謝罪させられますか?

内容証明郵便そのものに謝罪を強制する効力はありません。ただし、これまでの事実関係や要望を正式な書面として伝え、通知した内容を記録に残す方法として利用できます。

加害側の親が「うちの子も被害者だ」と言っています。

その主張だけで、こちらが反論を繰り返す必要はありません。双方の主張が異なるのであれば、学校へそれぞれの主張を分けて調査するよう求めましょう。「相手も被害を主張していること」と「こちらの子どもへのいじめの有無」は別々に確認する必要があります。

まとめ

いじめ加害者とされる児童生徒の保護者が、指摘を受けた直後に驚き、事実関係について反論すること自体を「逆ギレ」と決めつけるべきではありません。学校には双方の話を聞き、客観的に事実を確認することが求められます。

一方で、被害児童を責める、保護者を威圧する、学校の調査を妨げる、周囲へ被害家庭の悪評を広めるなどの行為が起きた場合には、いじめ本体とは別にその経過を記録しておくことが重要です。

相手が感情的になっている場合には、保護者同士で直接対決せず、学校を介した連絡へ切り替えましょう。学校が十分に対応しない場合は、教育委員会への申入れや、学校・相手方保護者に対する書面通知、内容証明郵便などを検討できます。

大倉行政書士事務所では、いじめ問題に関する学校・教育委員会・相手方保護者への通知書や内容証明郵便の作成を全国対応でサポートしています。相手方保護者との直接のやり取りに不安がある場合は、これまでの経緯を整理したうえでご相談ください。

参考資料

制度や実際の事例を確認するための資料です。

内容証明代行室